63rd All Japan TOZAI-TAIKO KENDO TAIKAI
陣頭、地白―大石から始まる六段戦の三番、いずれ劣らぬ好勝負が見込まれるが、昨年の全日本選手権者、勝見の存在がひときわ光る。
七段戦は、実業界に身を置きつつも各方面で活躍する橋本と、地元県警チームの旗頭、坂田の一戦が一つの流れをつくる。続く31将、全日本選手権を3回制した内村だが、七段に列せられ初の本大会、同世代の小村との対戦にいかなる剣勢で臨むか。
選手権世代を乗り越え、着実な伸張を遂げつつある寺本は、面を得意とする高橋との対戦に、しなやかな剣さばきは今も健在か。
中堅どころとなる鈴木―立見は七段戦の括(くく)りとなる。鈴木は第52回(平成16年)の全日本選手権者、立見は実業団大会等で数々の功績を残す名剣士。
八段戦ともなればいずれも見落とせない好取組が続くが、ここでは七番のみの紹介にとどめる。皮切りの井口―門田、ともに新鋭ほやほやの八段対決には自ずから衆目が集まる。「奥義に通暁、成熟」の試金石。才気煥発の剣づかいでならす栄花と鷹揚な中に鋭さを秘める蓮尾。大胆かつ細心な攻めを見せる佐賀と虚実によらず真っ向勝負に臨む江藤。速攻の攻めにて完全無欠の勝負にかける宮崎、対する笠谷の闊達な剣さばきがどこまで通用するか。明朗快活、積極果敢に仕かける石田には浩然とした身構えに精気をみなぎらせる山中。
副将戦は新進の範士同士の顔合わせ、気迫に充ち満ちた笠村と大拍子に攻めかける大城戸。掉尾を飾るは豊村―寺﨑、両者幾星霜の年輪を積み重ね、突き詰めた剣理に裏打ちされた攻防は、白眉の一戦となろう。
女子の部は、高橋―大西の先鋒戦の成りゆきによって流れが決まる。続く迫―山本、荒井―川越、山田―小津野、久木山--西いずれも甲乙つけがたくも、全日本選手権や世界大会など過去の実績面から見るとやや西軍に分ありとする。が、それぞれ歴戦のつわ者、勝利の女神はどちらに微笑むか、予想はつけ難い。
剣窓編集委員 真砂 威