The 16th World Kendo Championships Web site was awarded the "Good Design Award".
日本武道館が世界の剣士と剣道愛好家で埋め尽くされた第16回世界剣道選手権から5カ月経った今、大変嬉しいニュースが入ってきました。世界大会の特設ホームページ(16wkc.jp)が、本年度のグッドデザイン賞に選定されたそうです。
▲ 漫画家井上雄彦氏のイラストを配した特設ホームページ
この賞は、国内のあらゆる事象の中から「良いデザイン」のみに与えられる賞であり、日本を代表するデザイナーや有識者による二度の審査を経て受賞作品が決定します。過去には、世界的にエコカーブームを巻き起こしたトヨタのハイブリッド車「プリウス」や、熊本県のキャラクター「くまもん」等も受賞しています。赤い丸の中に白抜きで「G」の文字が入っている認定マークを一度は目にしたことがあるのではないでしょうか?
世界大会のホームページは大きく3つの目的を果たすために作りました。
1つは事前告知です。大会開催前に1人でも多くの皆様に大会の情報を伝えて興味を持ってもらうこと。そのために大きな役割を果たしたのが、漫画家井上雄彦さんの素晴らしいイラストです。大会ポスターとして既に活用していたこのビジュアルを、世界観を崩すことなくホームページのトップ画面にあしらいました。また、スマートフォンにも対応して、外出先等でも見られるよう心がけました。内容に関しても、今大会の情報だけでなく、過去全大会の入賞リストや第1回大会当時の写真等も集めて掲載、ページ訪問者に興味を持ってもらえるよう工夫しました。その結果、ホームページを公開した直後から非常に多くの反響をいただくことができました。
▲ スマートフォンにも対応し、外出先でも手軽に見られる工夫も行った
2つ目の役割は、大会開催中の情報提供です。会場の選手、スタッフ、観客、そして試合結果を知りたい世界中の人々のために、分かりやすく、かつ迅速に結果を提供する方法に腐心しました。このパートの立役者は情報小委員会の小川晃通委員です。彼は期間中に日本武道館の4つの試合場それぞれに設置した電子掲示板のシステムを構築し、それらをホームページのシステムと接続してくれました。大会中は、電子掲示板に表示された有効打突や勝敗結果が、ほぼリアルタイムに特設ホームページにも表示されていきました。また、全ての試合をインターネット中継でご覧いただけるようにもしました。
最後の役割は、大会後の「アーカイブ」です。大会が終わった後も、選手達の戦いの結果はもちろん、45年ぶりに東京で開催された世界大会の余韻を楽しんでいただく「場」として、この先も多くの皆様に訪れていただきたい思いで作りました。
実は、全日本剣道連盟がグッドデザイン賞に選ばれたのは今回が初めてではありません。2009年に全日本剣道選手権大会の特設ホームページを作った際に初受賞しています。この2回の受賞に慢心することなく更なる進化を目指してまいる所存です。
剣道とデザイン、一見まったく関わりがないように思えますが、長年の歴史によって洗練されてきた日本の伝統武道は、研ぎ澄まされた美の結晶とも言えることができます。そんな剣道の魅力を今回の受賞を機に、多くの皆様に感じていただけたら幸いに思います。
プロデューサー | 矢野 雅之 |
阿部 晶人 | |
ディレクター | 株式会社マスクマン 中西 圭吾 |
アストリーム合同会社 小川 晃通 | |
デザイナー | 株式会社マスクマン 戸上 淳司 |
I.T.PLANNING,INC. | |
たき工房 |
* この記事は、月刊「剣窓」2015年11月号の記事を再掲載しています。
▲ グッドデザイン賞2015の受賞トロフィー