アンチ・ドーピング委員会コラム_04

国内では2006年以降、ドーピング検査件数の増加とともにドーピング検査陽性の数が増加していますが、その大部分は「うっかりドーピング」です。つまり、選手は禁止物質が入っているとは知らずに使用しているのですが、それでも制裁を受けることになります。

選手たちから「栄養ドリンクやサプリメントは飲んでも大丈夫か?」という問い合わせが多く寄せられます。剣道から「うっかりドーピング違反」を出さないように、今回はサプリメントについてお話します。

サプリメントは薬ではなく食品として扱われています。よって製造・販売の規制が医薬品に比べると厳しくなく、その成分表は信頼できるものばかりではありません。実際には表示されていない禁止物質(ステロイドなど)を添加した商品もあります。特に外国製のものには注意が必要です。

2001年に発表されたデータでは、世界13カ国で市販されているサプリメントのうち、成分表記にステロイドが記載されていない製品635品について調査したところ、そのうち94品(14.8%)もの製品にステロイドが含まれていたと報告されています。したがって個々のサプリメントを摂取しても大丈夫かどうかについては、スポーツドクターや薬剤師にきいても確証が得られない場合が多いのです。栄養ドリンク剤についても同様です。特に滋養強壮作用をうたったものは、その成分に禁止物質のステロイドや興奮薬を含む可能性があるので、特に注意が必要です。

一方、日本アンチ・ドーピング機構(JADA)オフィシャルスポンサーシッププログラムにより認定されたスポーツドリンク、エネルギーアシスト系食品などは禁止表に抵触しないことが確認されています(http://www.playtruejapan.org/qualified/)。スポーツ選手の中にはそのようなサプリメント類を摂取している人も多いようですが、服用は自己責任です。できる限りサプリメントには頼らず、バランスの良い食事を摂るように心がけていただきたいものです。

アンチ・ドーピング委員会 委員 門野 由紀子

この記事は、月刊「剣窓」2013年12月号の記事を再掲載しています。

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