冠大会だけが走りだして、メニューの中身が見えなかった記念事業でしたが、連休明けから立案作業が進み、6月末の理事会、評議員会で決定される予定の内容などをご紹介します。
例年の全日本剣道選手権大会に併せて、選抜剣道八段優勝大会を両日に亙って行います。選抜大会は、全国から選んだ24名の八段剣士により、2日に3人づつの予選リーグを行い、勝ち残った8人によるトーナメント戦を、3日に行い優勝者を決めます。
選手権大会は例年通りの構成ですが、二回戦までを2日に、三回戦以後を3日に行います。この他両日に亙り、公開演武、女子、学生、外国人、長老などを含めた特別試合を組み込み、盛況の現代剣道を広く披露します。
節目の年に行ってきた、通常の功績者への顕彰のほか、今回は全剣連設立50周年として、戦中、戦後の困難な時代に、剣道の存続、維持、復興に努力戴いた方、さらに現在の剣道の発展を支えて戴いている方、特に各地で、少年剣道の指導、奨励に長年努力を重ねて戴いた方に感謝の意を表することを重点に取り上げます。
また剣道の発展、社会の理解を深めるための事業を続けてこられた個人、団体などにも目を向けたいと思います。
具体的には、各剣連や、関係団体に功労者の掘り起こしとご推薦を戴き、全剣連で調整の上、感謝状と記念品を差し上げる構想です。対象の目標は、全国で1,000人程度を考え、剣連毎にご推薦願う枠として、10ないし20人位を目途とします。
有功章の贈呈は例年どおり進めますが、例年より受賞者は倍増させることになると思います。功労者の選定は厳選されます。
これまでは、一部の主要大会には優勝賞品を差し上げてきました。しかし必ずしも全部の剣連に及んでおらず、また品物も質素といえる程度のものでした。
50周年の機会に、全部の剣連に全剣連杯といえる、しかるべき重みのある持ち回り記念杯を一点づつ贈呈し、各地で行事の活性化を図って頂くことにします。候補の品はすでに決まり、関係団体を含めご要望に応えます。
12月2日午後に九段グランドパレスホテルで記念式典を、続いて祝賀会を開きます。
年明けの1月18日(土)の午後、九段会館において剣道文化講演会を開催することで、準備を進めています。講演会のあと、関係者による新年賀詞交歓会を別途開くことも検討中です。
映像を中心とした剣道博物館の具体化への作業が始まっています。九段事務所の近くのビルの一室を借りて拠点とし、システム造りを進めます。成果の一端を記念式典、文化講演会の際披露する構想もあります。
また過去の功労者の名を永遠に残す剣道殿堂(仮称)は、博物館構想の中で具体化を進めることになります。
先行していた剣道史の編集は、原稿整理の段階に進みました。
5年ぶりの高段者名簿を年明けに刊行することも決定。「剣窓」関係では、臨時特別号を発行しますが、銀行引き落としを頂いている「剣窓」の長期購読者に、「剣窓」綴じ込み用ファイルを作成し、贈呈する予定です。
またポスター募集、例年の写真コンテストもすでに走っています。
ここで5月行事の見直しに戻ります。まず剣道の試合ですが、教士以下の試合数概数で1,000試合、試合数全体では昨年より110試合ほど減りました。これは教士七段の出場者の減少を反映しています。八段審査を5月2日に繰り上げたことから、遠隔地からの参加者が、演武大会より八段受審を優先させたものかと思われます。大会運営上支障が出る、申込後の欠席者は、全体で8%ですが、居合道では10%でした。
さて大会全般の日程の組み方は、最終日6日の昼まえの教士八段の部から、範士の試合と続き、長老の試合に移って行きますが、終わりを盛り上げるようにしてはとの意見を、多くの方から伺います。これまでのやりかたに則って工夫しますと、最後に年代別などの特別試合を組む方法が検討に値するものと思います。
また大会の何か月も前になっている各地での演武大会への申し込み期限を、大会に近付けることは可能の筈で、出場者の便を図れるほか、欠席者を減らす対策としても有効かと思います。
剣道の試合記録を昨年より「剣窓」に掲載していますが、居合道などの演武者も掲載して欲しいとの希望もあり、検討します。
また教士七段の試合は、5月4、5、6の3日に亙りますが、組み合わせが発表されてはじめて自分の出番の日がわかるという状況です。滞在予定を立て易くするためにも、申込の際希望日を申し出て貰い、極力これに応えることにしてはと思います。
主催者としては、必ずしも剣道を生活の中心に置けない受審者、大会参加者中の便をもっと考えなければと感じます。
審査の仕組みにいくつかの変更を加えた一連の審査会は、先月号でお知らせしたようにおおむね順調に進み、発表方法の改善などと相まって、受審された方の拘束時間の大幅な削減など、予期した効果が出ました。
この結果を踏まえ、受審者の最も願うところである、公正・妥当な審査に向かって、内容の向上を図るための努力を進めるべきです。
目的達成には、審査員各位にも一層のご努力をお願いしなければなりません。今回の審査内容を見直すと、いくつか気になる点が浮かんできます。これらについて解析を進め、改善方法も含め、月内に予定している、審査員選考委員会でも検討をお願いする予定です。
平成13年度の事業報告、決算が固まり、月末の理事会、評議員会の議を経て決定されます。事業についてはその都度ご報告しているように、関係者のご尽力も戴き、十分とは言えないにせよ、事業計画に沿って一歩一歩前進の成果を収めてきました。
財務的には、社会全般の不況の中で、幸い事業収入の増加があり、堅実な運営に留意した結果と相俟って順調な決算を行うことができました。これは剣道愛好者全般のご支援の賜物でもあり、感謝申し上げるとともに、今後50周年記念行事を含め、事業計画に沿って執行部挙げて努力したいと存じます。
落語界はじめての人間国宝に指定された、柳家小さん師匠が急逝されました。国民に親しまれ、惜しまれて世を去られた小さん師匠は、剣道界のだれもが知る小林盛夫範士であり、剣道功労者でもありました。
平成5年11月号の剣筆に自身記しておられるように、剣道に打ち込まれた方でした。主な行事には忙しい中なにをおいても出席され、京都演武大会もほとんど皆勤されました。報道では剣道を趣味として扱っていますが、小林さんにとってはそれ以上のものであったことは確かです。
個人的思い出もあります。20年ほど前、森下参議院議員が世話され参議院道場で開催された、各界対抗剣道大会、芸能界大将の小林さんと、官界大将の私と試合で対戦しました。始まって、出鼻の面で先行したところ、鋭い突きから変わっての小手を、鮮やかに打たれました。
剣芸一如を実践され、剣道人の理想を具現された小林さん、広く一般に剣道の価値を知らしめたご功績を偲び、謹んでご冥福を祈ります。
私事にわたりますが、「まど」が今月で第180回を数えました。昭和62年8月号から15年です。時折思い出したように発行されていた「全剣連広報」を、その年6月に月刊化した際の約束で、2月遅れで始まったのですが、雑文を綴り続けて思わず長きに亙りました。
読者の声、特に「毎月見ているよ」という普段お会いしない方の言葉を励みとして続けてきました。思えば全剣連も剣道界もこの間随分変わり、成長したと思います。続けられる間は続けます。よろしくご支援を。