平成15年12月号

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今月のまど

全日本剣道選手権大会を終えて

今回の大会は、ポスト50年の第1回の大会であり、従来実績のある剣士に対して、出場選手の半数を占める初出場の選手、その中でも21歳・三段を筆頭にする若手の中から次の時代を担う新星が現われるか、関心が集まりました。結果はベテランの壁は厚く、前回優勝の安藤選手と、同僚の近本選手の愛知県同士の決戦の末、安藤選手の連覇を阻む見事な面を決めて、近本選手が初優勝し天皇杯を手中にしました。

初出場組は2人がベスト8に入りましたが、若手とは言い難く、わずかに優秀選手に選ばれた白石(栃木)選手が目立つ程度でした。優勝経験者の栄花選手と安藤選手が三回戦で当たったのは組み合わせのいたずらですが、満場を沸かせました。戦評は記事に譲りますが、平均的には試合内容は良く、評価できる大会で観客にも満足して貰ったと思います。

この大会、剣道界のメインイベントとして、全剣連は日本の剣技の水準を示す試合内容のみならず、観客誘致、対応、審判レベル、その他会場の雰囲気作り、情報提供など運営一切について、剣道界の総合評価を受ける場と意識し、全国の剣道大会の模範を示すべき大会となるよう、内容の向上のため関係役員、委員以下事務局全員が全力を挙げて取り組みます。今回の大会その結果はどうであったか、総合点では反省を要する点があり今後の対応を必要としましょう。

特に総選挙の関係とはいえ、NHKの実況放送が当日行われなくなったことは、多くの愛好家を失望させたもので残念でした。

本年度表彰決まる-石原忠美氏に特別功労賞

平成15年度の表彰は、10月24日開催の選考委員会において審議され、剣道有功賞は各連盟より推薦の候補者のうち60名の授賞者を、また杉山孝雄氏、中村鶴治氏への剣道功労賞の贈呈を決定しました。杉山氏は名古屋鉄道(株)副社長などを歴任され、愛知剣連会長を17年にわたって務められ、剣道の振興にお骨折り戴きました。中村氏は自ら道場を経営されたほか, 全日本剣道道場連盟の設立と運営に努力され、青少年の剣道育成に尽力されました。

つぎに剣道振興に功績の大きかった特別功労者として石原忠美氏が推挙されました。石原氏は戦前の武専のご出身、自らの研鑽を積まれつつ剣道の指導育成に努力され、地元岡山県剣連会長、全剣連副会長などの役職を通じ、剣道界の指導的立場にあって、剣道の発展に多大の功績を挙げられた方です。

以上の表彰は理事会で決定、11月3日付けで発令されました。剣道人の顕彰は、剣道の復興に努力された年配者を対象とするだけでなく、今後の剣道の発展のため模範となる人を、年齢に拘らずとりあげるべきとのご意見もあり、今後具体化を検討していきます。

来年度行事日程を内定

11月2日の理事会・評議員会の議を経て、平成16年度の一般行事の日程、開催場所が別掲のように内定しました。行事の枠組みは大きく変わりません。その中で明治28年に大日本武徳会によって始められ、戦後全剣連が継承している5月の全日本剣道演武大会が、中断期を挟んで第100回を迎えます。剣道人の祭典として内容ある記念行事を行うよう検討を進めます。

持ち回りの大会は、第50回を迎える東西対抗剣道大会が9月26日に松山市で、続く10月3日に全日本杖道大会が同じ会場で開催されます。夏の学校関係大会は、高校が島根県大社市、教職員が広島県廿日市市、中学校は栃木県小山市で行われます。全日本居合道大会は十月十六日に宮崎市で開催されるなど、来年は多くの大会が西日本に集中します。なお国体は埼玉県、剣道は秩父市です。

夏の剣道審査会は、東は札幌市での六段が加わり、六、七段を新潟市、西は六段を福岡市、地区講習会の前日開催の居合道六、七段は、東は新潟市、西が鹿児島市になります。

剣道使節団としてモスクワを訪問して

このたび『ロシアにおける日本文化フェスティバル2003』の100を越える事業の中の1つ『剣道、古武道デモンストレーション』を行うため、国際交流基金のご援助による派遣団の1員として、10月15日から1週間、モスクワを訪問しました。中身はセミナーと、第6回ロシア剣道選手権大会で、一行は古武道関係者を含めて9人、行事には極東のウラジオストックをはじめ全ロシアから100数十人が参加しました。内容は報告に譲りますが、いくつものテレビ、ラジオのインタビュウを受け、一般の関心の高さを実感しました。

私はソ連時代の平成2年、平成10年と剣道関係で以前2回モスクワを訪問しており、その印象をそれぞれ2年11月号、10年5月号の「剣窓」に掲載していますが、当時予想した以上に、剣道への取り組みは真剣で、今年の世界大会にも出場するなど、発達を遂げている実態に触れることができ感銘を受けました。

今後全剣連として用具、指導の面でできるだけの援助をし、剣道による交流を通じ日露の理解を深めるための努力をしたいと思いますし、その効果についての手応えも感じました。お世話になった野村大使以下の在ロシア大使館の方々に厚くお礼申し上げます。

第58回国民体育大会が静岡県藤枝市で開催される

静岡市より東海道線で西に20分ほどの藤枝市の静岡県武道館で、NEW!!わかふじ国体の名のもと10月26日から4日間、剣道大会が開催されました。結果は地元静岡県が、少年女子、男子、成年男子の3種目に優勝、圧倒的に総合優勝を飾りました。開催地が上位を占めるのは例年ですが、地の利だけでなく、大会を目指す県ぐるみでの強化が実を結ぶものと見られます。これには一部行き過ぎもあるとの声も聞かれますが、静岡県の場合その成果が見られ、何よりも勝利への執着の強さが伴い、良い内容の試合を続けました。

成年男子では、力が上回ると見えた神奈川県、埼玉県を下しての優勝は見事でした。またチームに1人も警察関係者が入って居なかったのも目立ちました。

成年男子の試合では、前年優勝の千葉県など実力者チームが早々と姿を消したのは、勝利を目指す意気込みの違いによるものでしょう。技では相手の空けた左胴を決めたものが何本も見られました。近年はやりの左拳を挙げてのよけた相手に有効であり、審判もよく見たと感じました。

大会最終日には、紀宮清子(のりのみやさやこ)内親王の行啓があり、成年男子の準々決勝戦の試合をご熱心に観戦戴きました。

両陛下主催の園遊会にお招きを受けて

赤坂御苑で10月30日開催された秋の園遊会にお招きを受けました。剣道を通じての国際交流関係者として、全剣連会長として外務省より推薦戴いたものです。秋晴れの美しい庭園は千数百人の参列者で賑わいました。両陛下はテレビ、新聞で報道されように何人かの方と対話された後、参列者の集う庭園を巡回され、皇族の方々も後に続かれます。池のほとりの道でお待ちする私どものところで、皇后陛下、皇太子殿下から次々に親しみを込めたお言葉を戴きました。続く秋篠宮文仁親王殿下、剣道愛好者である三笠宮瑤子(ようこ)女王殿下にもお話する機会を得て、皆さんから剣道の発展への激励を戴きました。皇室ご一家の剣道に対するご理解、親近感を感じて、感激するとともに心強く存じましたことを、剣道界の皆様にお伝えします。

関東の地盤が揺らいだ全日本学生剣道大会

第51回全日本学生剣道大会は10月12日に日本武道館で開催され、21年振りに大阪体育大学が優勝、二位に中京大学、三位は福岡教育大学とともに、埼玉大学が食い込みました。伝統を誇る関東の有力大学は、いずれも音無しでした。西の大学の健闘を称えるのに吝かでありませんが、関東の沈滞も心配の種です。

第30回全日本杖道大会を江戸川区スポーツセンターで開催

杖道大会は2年ぶりに東京に戻り10月12日に開催、全国から500人余が集い、勝負を争いまたお互いの演武を披露しました。前日には六、七段の厳しい審査が行われました。普及度もう一歩の杖道の愛好者は全国的に増加の傾向が見られますが、六、七段受審は現在年1回のチャンスしか無いので、来年度は増やす予定です。

断片

(1)モスクワでの行事

大会会場にはロシア国旗に並んで日の丸の旗も掲げられていましたが、ロシアの旗が全剣連の剣道人バツジと同じ白、青、赤の三色旗であるのに気付きました。帝政ロシア時代の国旗を復活させたものとのこと。剣道人バッジができた時期はソ連時代ですから偶然の一致と思います。

(2)衆議院選で関係議員健闘される

このたびの選挙で全剣連関係議員は健闘され、次の方々がいずれも議席を維持されました。

小里貞利、久間章生、古賀 誠、津島雄二、橋本龍太郎、武藤嘉文の皆さんです。取りあえずお祝い申し上げると共に、今後のご活躍を念じます。

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