全剣連の歳末にはつぎつぎと委員会が開催されるほか、12月20、21日には、剣道審判講師要員研修会を勝浦市の日本武道館研修センターで行うなど、フル稼働でした。
この研修会は講師要員として適格性ある方で、これまで研修に参加できなかった方を対象に、日程も週末の2日をフルに使い行いました。全国からベテラン22名が参加、充実した日程を終えました。全剣連は講師要員として適格で、所要の講習を終了された方に、資格に準ずる認定書を差し上げ、各地での講習に活用して貰う構想を進めています。
正月休みを使っての研修会が毎年1月4日から3日間、武道館研修センターで日本武道館主催の元に実施されます。文部科学省や教育委員会関係の後援があり、中体連、高体連も共催し、全剣連も名を連ねます。この会の歴史は古く今年は第27回目です。全国から高校教員67名、中学校教員48名が参加し、講師は学校関係の全剣連役員や専門委員が顔を揃え充実しています。研修生も真剣に受講、学校教育レベルの向上に効果を期待できましょう。
ここ数年元日の各紙社説を展望し紹介してきました。今年は景気の回復基調が見えたこと、総選挙が秋に終わり世の中落ち着いたこと、自衛隊のイラク派遣が実行段階に入ったことなどのもろもろの情勢の影響か、内容的にここで取り上げる食欲が出ません。年頭には堂々と、国家百年の計を具体的に説いて貰いたいと感じました。その中で読売が百年の計に関連して、老後の不安を無くすための年金の長期的展望の確立のための、消費税アップ、デフレ脱却に全力を尽くすこと、国際関係の現状から、集団的自衛権の行使容認すべきという具体的主張が目立ちます。全般的には当面の景気は回復しても、長期的に産業の成長力を伸ばすことがなにより大事ですし、さらに基本としての日本人の底力をつける教育、人材養成の重要性など基盤の強化を誰かに強調して貰いたかったと感じました。この点人造りを通じて日本の発展に貢献しようとする剣道界の役割を、ここで改めて強調しておきます。
明治村剣道大会を引き継ぐ形で、全剣連主催剣道八段大会が4月に名古屋市総合体育館で開催されました。全国から選抜された32名の八段剣士による熱戦の末、西川清紀選手が優勝しました。
第51回の表記大会は、愛知県代表近本 巧選手が優勝し天皇杯を獲得しましたが、前年優勝の安藤選手と同県同士の対戦は久し振りのことでした。この大会は一般の関心も高く、有料入場者は過去最高を数えました。
つぎに天皇陛下の古希を祝って、「御古希奉祝剣道大会」が12月2日、皇宮警察本部長主催で濟寧館で開催され、両陛下のご臨席のもと充実した大会が持たれたのは意義の深いことでした。
第12回大会を英国北部のグラスゴーで七月に開催、41の国、地域が参加しました。試合結果は男女個人、団体とも日本が優勝しましたが、男子団体決勝は前回に続く日本と韓国の決勝戦が、代表戦に持ち込まれる辛勝でした。大会の初日、エリザベス女王陛下の行幸を仰いだことは大会に華を添えるものでした。
審査会における運営体制を明確にするため、会場に審査委員長、審査主任を置くこと、また審査員の遵守事項を倫理関係を含めて明文化するなどの規則整備を行いました。また四段から七段、八段一次の実技の審査員数を7名から6名に、合格に要する合意数を5名から4名にするなどの改正を行い実施しました。また審査員への研修を定例化するなど審査の内容向上のめの措置と相俟って、順調に審査が進みました。錬士審査の小論文に英文での受審を認め、門戸開放を行いました。秋の全剣連審査への挑戦者は1万3千名を超え、過去最高を記録しました。
全剣連50周年記念事業を契機として盛り上がった文化関係事業が進みました。1月の第1回剣道文化講演会のほか、記念出版として完成した「剣道の歴史」「全剣連五十年史」「剣窓スペシアル」5年ぶりの「高段者名簿」は内容的にも充実したもので広く頒布され、高い評価を受けました。
過去の貢献者から歴史に残る人々を選んだ「剣道の殿堂」が概成、映像を中心とした「剣道博物館」もスタートしました。そして剣道の歴史を綴ったビデオの第一作も披露されています。
全剣連の諸料金は、値上げの連続でしたが、平成15年には七、八段の審査料の値下げに踏み切りました。審査業務の合理化が進んだこと、中高年の挑戦者が増加したことを背景に、受審者の負担を軽減させたものです。また社会体育指導員資格養成の講習会でも、受講料を6千円を基準として引き下げました。これは受講者の増加を踏まえ、さらに全剣連の費用負担を増やすとにして可能になりました。
稽古・試合における外傷、疾患への対応を纏めた「剣道医学・救急ハンドブック」が医・科学専門委員会の手により完成、頒布されました。内容の一部を剣道指導法の講習資料にも加え、各講習においては消防機関の協力も得て、実習するよう指導しています。
平成7年に始められた講習は前進しつつあり、新年度には上級の準備に進みます。教育界への資格活用方策を進めることが課題です。
6月の役員改選後の委員会の再編成の中で、とかく後回しにされる長期的問題を検討するために、表記会議を設け、研究に取り組むことにしました。
「剣窓」の定期購読者の伸びに比べ、全剣連ホームページの利用者は激増を続け、昨年のアクセス数は年間4百万件を越え、全剣連もその充実に本腰を入れています。また全剣連杖道解説書の改定、「居合道における日本刀・模擬刀の取扱要領」の作成、大会記録ビデオの作成頒布など資料作成が活発に行われました。
また五人目の剣道特別功労者として石原忠美氏が推戴されました。以上全剣連事業の動きに終始しましたが、剣道人口は少子化の影響で停滞していますが底を打った感じがあり、その分を中高年者の活発化で補っており各地での活動は活発化しております。
謹んでご冥福を祈ります。
佐藤清英氏(剣道範士、元千葉県剣連会長、剣道功労賞受賞者) | 04月24日 |
葛城康生氏(全剣連理事、大分県理事長) | 05月06日 |
井上正孝氏(剣道範士、剣道特別功労者) | 07月03日 |
壇崎友彰氏(居合道、杖道範士、剣道功労賞受賞者) | 10月24日 |
村岡 裕氏(剣道範士、剣道功労賞受賞者) | 10月27日 |
米国ワーナー社の映画「ラスト・サムライ」が公開され話題を呼んでいます。舞台は日本の明治初年、南北戦争の勇者が日本軍の養成のため、明治政府に雇われて来日します。たまたま日本でも近代化の流れの中で、滅び行く武士道の最後の旗頭に出会い、感銘を受け行を共にし、剣術の修業も重ねます。しかし政府軍の攻撃を受ける立場になり、弓矢で近代軍と戦って玉砕するというストーリーです。
実際の歴史との対比や、話の必然性など納得しにくい部分もありますか、日本武士道の末路をアメリカの見方でまとめた時代劇という意味での力作です。撮影は素晴らしく、日本人俳優も好演します。
1月号 | 50周年表彰・感謝状贈呈の内容と視点 |
2月号 | 念頭の新聞論調・14年の主要ニュース |
3月号 | 審査規則改定の視点。指導資料次々と完成。 |
4月号 | 審査会運営・管理改善のための規則、運営要領の策定 |
5月号 | 新年度事業計画の要点 |
6月号 | 5月の京都・大阪での行事と行動日記 |
7月号 | 審査方法変更の海外への説明ぶり |
8月号 | 役員改選について。世界剣道選手権大会を顧みる。 |
9月号 | 役員分担の中味。夏の行事いくつか。 |
10月号 | 審査員に対して要望したこと。 |
11月号 | 専門委員会構成など。 |
12月号 | 全日本選手権大会、本年度顕彰、モスクワ訪問。 |