2009年3月号

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もくじ

  • 剣筆 「運・鈍・根」―西 善延先生の教え―/太田 茂
  • 「剣道みちしるべ」・20回/真砂 威
  • まど・260回/武安 義光
  • 審査会特集
     □平成21年4.5月大阪市および京都市における行事日程表
     □称号・段位審査会要項から
     □剣道・居合道・杖道称号「教士」筆記試験実施要領について
     □杖道七・六段審査会合格者/冨永 彰三
  • 平成20年度段位審査会一覧表
  • 第7回全日本選抜剣道八段優勝大会組み合わせ
  • 社会体育(第70回初級)講習会・杖道地区講習会・全剣連後援剣道講習会
  • 武道必修化に備え―剣道座談会―
  • アンチ・ドーピング委員会コラム⑧/朝日 茂樹
  • 国際関係コラム・81回
  • アメリカゾーン剣道審判講習会/村上 済
  • 平成21年度(第13回)写真コンテスト作品募集

今月のまど

暦では春を迎え、東京西郊で庭の梅花も綻びました。年度末、学年末も近付き、それぞれ仕事の区切りに骨を折られる方が多いことでしょう。進学を目指す受験生や、その家族のご苦心は例年のことでしょうが、100年に一度といわれる世界的不況に見舞われ、業績維持のため苦心される方が多い今年です。政府も対策を打ち出して努力中ですが、その効果が少しでも早く出ることを期待します。

ここで徒に政局を囃すのでなく、お互い剣道人としては、まず体力・気力を養い、長期の策を指向して行きたいものです。エネルギー・資源の節約、有効利用、環境対策、安全の充実など、身の回りにも取り組むべきことは多々あります。地道に難局に立ち向かう、日本人の底力を支えていきたいものです。

全剣連は20年度の事業も仕上げを残して概ね終わり、続く新年度への準備に取り組んでいます。

21年度事業への構想を展望する

まず大会を取り上げます。年度初めの4月29日の大阪での全日本都道府県対抗剣道優勝大会、何回もお知らせしていますが、女子2名の枠を、高校生・大学生に回し、男子だけの都道府県対抗大会となります。一方7月18日の全国家庭婦人剣道大会は、高校生・大学生の席を設け、第1回全日本都道府県対抗女子剣道優勝大会(仮称)とします。

こうして都道府県対抗大会を男子、女子の二本柱にし、高校生・大学生を加えることを通じ、各剣連の剣道が活性化されることを期待します。

女子大会を発足させるに当って、現行都道府県対抗大会の優勝兜に匹敵する、文化的な象徴を女子大会にも作りたく、経費の点も含め検討中です。

さて3年ごとの世界剣道選手権大会が、8月28日より3日間ブラジル・サンパウロで開催されます。日本としては負けられない一戦です。大会には40カ国以上の剣連の参加の申し込みがありますが、厳しい経済情勢の中、辞退国が出るのではないか懸念されます。大会開催の費用は国際剣連の予算で賄われますが、役員・審判員・選手など総勢700名の派遣団を、地球の裏側に送るのですからいつもの大会より費用もかさむのはやむを得ません。

その他の大会は例年どおりですが、ここで各地持ち回り大会の開催地をお知らせしておきます。

8月の全国高等学校剣道大会は大阪市、全国教職員剣道大会は大津市、全国中学校剣道大会は人吉市で開催。9月の全日本東西対抗剣道大会は埼玉県越谷市、10月の国民体育大会は長岡市、同じく全日本杖道大会は横須賀市、全日本居合道大会は島原市で、22年3月の全国スポーツ少年団剣道交流大会は鳴門市でそれぞれ開催されます。開催地にはお世話を頂くのですが、簡素、実質的で充実した大会にすることを希望しております。

各地で審査会開催

定例的なものの他、夏の地方審査は、剣道七・六段が福岡で、東日本の剣道六段は秋田で、それぞれ8月に行われます。居合道七・六段審査会は、6月弘前市、7月高知、11月東京です。杖道七・六段審査会は、8月に札幌市で、22年1月に東京で行われます。受審される方々は万全の体制で臨まれることをお願いし、また開催各地には円滑に実施されるようご尽力頂きたく存じます。

講習事業の充実を図る

各剣連からの要請に基づき講師を派遣して行う全剣連後援剣道講習会は、4月の山口県を皮切りに49カ所を予定します。

中学校での体育への武道必修化を控えて、主催者・受講希望者のいずれでも気合いがかかっている、社会体育指導員養成講習会は、例年の勝浦市・大阪市の他、青森市・埼玉県・高松市・福島市などの開催予定地の名前が見えます。多数の志ある方のご参加を期待しています。

事業計画の基本方針は不変

質の高い剣道を育てること、剣道の普及を進め、人造りを通じて社会に貢献するという、新年度の事業計画の大綱には変更はありませんが、中学校体育での武道必修化を控え、これに備える講習の充実、必要な手引書などの作成を促進することなどを実施面で強調するなどの事業計画書の取りまとめを進めます。

またそれら事業の進展に対応できる予算を組み、3月10日に開催を予定している評議員会・理事会に付議して決定に持ち込みます。予算編成に当たり、懸念される事業収入の動向ですが、比較的好調に推移した本年度の動向を考慮し、おおむね本年度並の収入を期待しています。

支出については簡素、実質的を目途として編成しますが、節約できるものは節約しつつ、事業遂行に必要な費用は計上していきます。近年の動向と同じく、単年度としては若干の赤字予算を組まざるを得ず、ここ数年の在り方と同じく、一部をこれまでの蓄積から補うこととして収支予算を提案することになりましょう。

級位審査規程の見直しについて

先月のこの欄で取り上げた級位審査規程の問題は、30年前のいわば旧時期の称号段位の規程に基づく規程を、現在の称号・段位規則の趣旨に合わせて、段位の下部のものとして位置付けようとするものです。たとえば現行規程にはありませんが、級位の授与は実技の審査を経て行うといったことは規則化しておくことが必要でしょう。規程の試案を先般開かれた、各剣連の専務理事・理事長会議で提示しました。要は大綱を定めて、実行面は各剣連で実行して頂き、少年剣道の振興に役立たせて頂くことを目指して行きます。

一つ問題にすべきことは、称号・段位規則の体系の中、級位は何級まであってよいのかということです。10何級まで与えている例もあるようですが、これでよいのかと気になります。少なくとも全剣連の称号・段位体系中の級位は下限を定め、あとは便宜的に体系外のものとして置くのがよいのではないかと感じます。

今後剣道研究会、審議会などの検討も経て成案を得る予定です。

断 片

①水戸東武館の寒稽古、NHK『小さな旅』に登場

日曜日の朝NHKの総合テレビで朝八時から放映される『小さな旅』は、各地の小都市を訪ね、そこの伝統と文化などに彩られた生活を紹介する番組で、都合が付けば楽しみにして見る番組です。

先般1月25日(日)の朝、ここに東武館の寒稽古が紹介され、多くの少年剣士が登場しました。

ご承知のように東武館は明治初期の剣術衰退期に創設され、多くの剣士を育てました。戦後の苦難の時期を経て、昭和35年に発足した全国選抜少年剣道錬成大会は、年々盛況になり、春休みに全国からの剣士が集い、今年3月に50年を迎えます。

番組で紹介された寒稽古も130年の歴史を持ち、今年も1月2日から6日まで(朝5時30分から7時)の稽古を終えた小・中学生の参加者は42名でした。剣道修錬の良さを一般に伝えた、ほのぼのとした嬉しい番組でした。

②中学校剣道教育の指導資料を刊行

また全剣連出版物の話題をお伝えします。中学校体育における剣道教育の指導に役立たせるために、専門家によって進めていた資料の取りまとめが終わり、『剣道授業の展開』として近く出版の運びになります。ご期待ください。

③老剣士像「日展」会場を飾る

昨秋、六本木の国立新美術館を訪ね、洋画を見てから日本画の方に回ったところ目に付いたのが、立ち会いに臨む端正な剣士の姿を描いた大作でした。題は『大将戦』で、作者に熊本・緒方裕和の名、垂の名前に「緒方」とありましたので、一昨年80歳で剣道八段に合格された緒方仁司さんであろうとお尋ねしたところ、正しくそのとおりとのご返事を頂きました。作者はお孫さんで、崇城大学大学院生で、大学で1月余りを掛けて完成されたとのことでした。

写真を掲載させて頂きましたのでご覧ください。
剣士の絵は案外少なく、貴重なものと存じ、ご健勝を念じお礼申し上げます。

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会 長 武安 義光

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