昨年を振り返りますと、北朝鮮の核開発やミサイル実験に対する米国中心の国際社会の反発、また欧米各国でのテロが頻発するなど、国際的には大変不安定な情勢が続いており、それが今年へ繋がってくるように思います。このような世界情勢は、我が国とも無関係ではなく、2年後の東京オリンピック・パラリンピックを控える日本も難しい時を迎えています。その中で、昨年10月に行われた衆議院議員選挙では、自由民主党が過半数の議席を確保しました。今後、公明党との安定的な政権運営で、この難しい局面を乗り越えていく事に期待をしております。
同時にこのような時代に直面した我々国民一人一人は、自分の国は自分で守るという気持ちを強く持って、日々を過ごさなければならないと思います。いつ何が起こるか油断は禁物、事に当っては慌てず冷静に対処する、という事も剣道をしている者の心得かと思います。
さて、このような中で、昨年も全日本剣道連盟は多くの行事を計画し、実施して参りました。色々な大会で活躍された選手の皆さんを始め、諸行事を支えて下さった皆様に心より御礼申し上げます。
剣道の裾野を拡げ、将来ますます我が国の中で剣道が重みを増すために、普及・教育・指導などの活動を多くの皆様に続けて頂いております。我が国の輝かしい未来のためにもとても大切な事だと思っております。特に若い世代を育てるために、剣道は重要な役割を担う事ができると信じておりますので、剣道に携わっておられる皆様には今年もお力添えを賜りたく存じます。
今年9月には、韓国・仁川市にて第17回世界剣道選手権大会が行われます。我が国は世界のリーダーとして、素晴らしい大会になるよう他国を引っ張っていかねばと思います。試合関係者の皆さんは、秋まで稽古など忙しい日々となりますが、体調には十分注意し、実力を存分に発揮できるよう、宜しくお願いします。
昨年も多くの大会を主催しましたが、特に印象深かったのは、女性の大会がますます充実してきた事と、若手の頑張りでした。この流れを5年先、10年先にさらに大きなものにしなければと思います。
いつも申し上げておりますが、剣道は厳しい稽古を通じて、技とともに心を磨くものです。師匠の下で激しい稽古を重ねるにつれ技も上達しますが、感謝の気持ち、礼、少々の事では動じない強い心などが身につき、社会に出た時も大変役に立つものです。まさに「修業」だと強く感じます。特に若い方々にはしっかり修業をして頂きたい、明日の日本を背負って立つためにも。そのためには若手を鍛える先生方、先輩方へ更なるご指導をお願い申し上げます。