選手や指導者から「使用可能な医薬品(商品名や成分)が分かりづらいので、どうしたらよいか」という問い合わせが多く寄せられます。それに対しては、世界アンチドーピング機構(WADA)が1年に1度発表する禁止表と照合する、あるいは薬剤師会ドーピング防止ホットラインに相談するという解決法がありますが、あまり気軽にできる行為ではありません。そこで、今回はいつでもどこでも気軽に禁止薬物かどうかを判断する有効なツールであるThe GlobalDrug Reference Online Japan(以下、Global DRO)を紹介します。
Global DROは、世界アンチドー・ピング機構の現行の国際基準禁止表に基づいて、医薬品の使用可否について確認することができます。日本だけでなく、米国、英国、カナダで販売されている商品名や個別成分での検索も可能です。
たとえば、総合感冒薬に含まれる成分「メチルエフェドリン(興・奮薬)」を検索すると、競技会外査・では「禁止されていない」と表示され、競技会検査では「Conditional(条件付)」と表示され、どのような条件であれば禁止(制裁対象)とされるのか追加情報欄に具体的な記載がされています。パソコンだけでなくスマートフォンからもアクセスでき、簡便に利用できることが特徴の一つですので、ブックマークしておくのがよいかも知れません。
このように、選手やコーチや関係者にとって一助となるサイトです。ただし、医療機関から処方される薬品名や成分名での検索が主であり、滋養強壮剤やサプリメント類の商品名や成分名には対応していません。
インターネットの普及により簡便に情報を収集することが可能となっており、これらを有効に活用することも余計なストレスを溜めない方法ですが、ネットには間違った情報も溢れているためそれらの正しい取捨選択も求められていることも忘れてはいけません。
※Global DRO(日本語版)は、日本アンチ・ドーピング機構(JADA)公式ホームページからアクセスすることが可能です。(http://www.globaldro.com/jp-ja/)
アンチ・ドーピング委員会 委員 小澤 聡
* この記事は、月刊「剣窓」2014年8月号の記事を再掲載しています。