平成11年7月号

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今月のまど

称号・段位審査規則成案に

この2年近く取り組んできた、称号・段位制度と運用の見直し作業の中核となる、称号・段位審査規則はすでに去る3月の理事会・評議会に付議し、いくつかの検討事項を残しておおむねの了承を得ることができました。その後会議で指摘があった点を中心に、語句の明確化や条文の表現などにつき修正を加えたほか、運用に任せるより、規則に記載した方が適当と思われる事項などを付け加えることにし、称号・段位専門委員会で検討を重ね、修正規則案を策定しました。

規則案は作業部会幹部会の了承を得たのち、常任理事会を経て執行部案として、6月24日の理事会・評議委員会に提案し、審議の上承認を得て決定しました。以下表現や字句を分かりやすくしたもの、単なる修文を行ったものを別にして、3月案に追加・修正を行った主な点を紹介します。

(1)規則では全剣連および加盟団体は審査員選考委員会を置いて、審査員の選考などを行うこととしています。これに加えて委員会は、称号合格の特別措置、段位審査の合格および取り消しの特別措置について会長に意見を述べることを明記しました。

(2)新たに綱紀委員会を置くことにし、これまで選考委員会の仕事としていた、称号・段位の剥奪、返上、復活について諮問を受け、意見を述べることを行うこととしました。

(3)審査員は審査を行う際には審査委員会をその都度構成して行うことを明記しました。

(4)称号の受審資格に、それぞれの段位取得後の修業年限を定めることにしました。まず範士は、従来年齢55歳以上が資格になっていましたが、これを八段取得後8年以上としました。錬士、教士の受審には、六段または七段取得後、別に定める年限を必要とすることにしました。ただ現状は多くの人が所要の段位取得後ただちに推薦を受ける状況ですから、当面年限の決め方には、慎重な対応が必要と感じています。

(5)外国人の受審についての扱いがこれまで規則に規定されていませんでしたので、付け加えました。

以下、事務的にわたる事項ですが、ここでお知らせしておきます。

ともあれこの規則改正によって剣道の審査は、平成12年度から、新しい規則によって行われることになります。まず段位については審査自体のやり方、体制が大きく変わるものではありませんが、審査の適正化、合理化を図り、内容の向上を進め、受ける人にも納得できる審査にしていくことが望まれます。

また称号については、受審のための資格と、必要な講習の受講を定め、教士には全剣連が試験を行うなど、選考を厳しくし、その権威と価値を高めていくことを目指しています。

ところでこの規則には、今後の称号・段位審査のための制度と運用の基本が定められていますが、基準の具体的事項、称号審査のための選考、試験の実施要領など、実務に必要な細目までは規定しておりません。細則や指針など早急に立案し、肉付けをしていくべき事柄が多々あります。その具体化のためには今後全剣連に残された仕事は多く、引き続き取り組む必要があることはもちろんですが、一方審査業務を的確に進めるためには、各剣連で担って戴く分野が大きいことを感じます。

今回の規則の大きな目標は、称号・段位制度の正しい運用を柱として、剣道の長期にわたる正しい発展を図ることにあり、今回の改定をそのための新しいスタートラインとしようとするものであります。

移行に当たって、差し当たっての仕事が繁雑になり、またそれぞれ負担が増える面もあろうかと思います。これら当面の摩擦や困難については、各剣連関係の方、全国の剣道愛好者、指導に当たられる方々に、改正の趣旨、目指すところの長期的目標をご理解を戴き、この方向への前進につき、ご協力ご尽力戴くようこの場を借りて切にお願いするものであります。

役員など任期満了に伴う改選で新しい顔ぶれが決まる

去る6月24日の理事会、評議員会で、平成10年度の事業報告、決算が決まった他、任期満了に伴う役員などの改選が行われました。

まず各加盟団体から推薦された評議員候補を、午前の理事会で決定し、その顔ぶれによる評議員会で、理事、監事を選出し、選出された理事により、会長を互選しました。会長は留任になりましたので、つづいて会長が議長となり、副会長、専務理事、常任理事を互選し、さらに顧問、相談役、審議員、参与について候補を提示し、了承を得た後、再会された評議員会に諮って決定されました。

決定を見た役員などの顔触れは別の記事のとおりです。これについてのコメントなどは次号に譲りますが、副会長人事に触れます。

これまでの副会長は西さんと中村さんですがいずれもご勇退、相談役、審議員にそれぞれ就任されました。新しい副会長としては実業団剣連の会長で、これまで常任理事として、科学、総務の分野を担当された加賀谷さん、審議員の長老である森島さん、さらに称号・段位の問題に理事としてお骨折り戴いてきた、弁護士の石丸さんが選任されました。また専務理事の宗像さんは兼務のまま、副会長に選任されました。そのほか役員については、極力若手、有能な方業務の主力を担って戴くことで、実務を促進する観点で、業務の分担をお願いしていきます。

ともあれこの2年間、一同力を合わせて事業の推進に当たりたく、よろしくご支援、ご鞭撻戴くようお願い申し上げます。

概ね順調であった10年度決算

6月は前年度の事業と経理の締め括りを行う月で、同じく月末に集中する会社の株主総会と同様のことが各公益法人でも行われます。先般決まった全剣連の10年度決算は、中高年の活動の活発化、少年剣道人口の下げ止まりなどから、収入の大宗をなす登録料、審査料収入が堅調で、一般会計収入額6億1百万円、支出額5億8千6百万円となり、次年度繰り越しも1千5百万円上積みすることが出来ました。

着々と効果を挙げつつある幹部剣士への講習

5、6月は講習、研修のシーズンですが、全剣連の行ういくつもの講習事業の中で、幹部クラスを対象にしたものが、つぎつぎと展開され、受講者、指導講師の熱心さと、双方の呼吸があった運営で、顕著に効果を上げつつあるものと評価しています。

5月25日から第8回目を迎えた、新八段研修会が東京武道館で行われました。今年から期間を1日延ばして、4日間の充実した日程をこなしました。集まるものは昨年秋と今年5月の審査合格者22名、受講者にも喜んで貰い、講師も手応えがあったようです。年齢は46歳から75歳まで幅がありましたが、皆さん今後の剣道界の幹部として活躍する意気込みも十分でした。

6月16日から20日まで、埼玉県北本市の解脱研修センターと、西の方奈良市柳生と、日を同じくして東西で各剣連から選ばれた40歳代七段剣士を集めての、中堅剣士講習会が行われました。

参加するもの東34名、西28名、各地から同世代の各種の職業の人の集まりであり、講師を含めてのお互いの交流が深まることの効果も大きいものがあります。仕事の関係などから錬成の機会に恵まれない人もありますが、いずれも真剣な取り組みで、剣技の向上のキッカケを掴んで貰ったものと思います。西日本の柳生の会場は、宿泊、道場の規模など、東に比べ施設面では見劣りしますが、自然の中の歴史ある環境で、東に優るとも劣らぬ効果をあげたようです。毎年繰り返されるこの講習を経た人々がそれぞれの地で錬成を重ねると共に、指導者としての器量も養い、剣道界を支えていくことでしょう。

同じ6月にやはり東西で、週末を使っての剣道女子審判講習会が行われ、東は57名、西は36名の五段以上の女子剣士が受講しました。一昨年に始まったこの講習会、女子審判技術の向上の効果を挙げていくことでしょう。

断片

昨年もここで取り上げましたが、旧制高専剣道大会は第25回を迎え、6月5日東京武道館で開催しました。いずれも70歳を超えた老剣士ですが、若き日を思い出しつつ3人1組の昔の学校名で22チームが出場、優勝を争いました。因みに筆者は世話人の立場ですが、武蔵高校の選手で出場、幸い優勝旗を勝ち得ました。高齢者剣道の一つの見本の価値はあると思いますが、今後どう続けるかが頭痛の種です。なお大会後のパーティーは、勝ち負けに関係ない抜群の楽しいものでした。

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