平成11年11月号

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今月のまど

称号・段位審査規則の細則、実施要領ほぼ成案へ

先月に引き続き、細則と実施要領の策定作業を進め、執行部案として、9月25日に和歌山市で開催した相談役会、審議会において、これまでにいたる経過とともに報告、説明を行い、了承を得ました。さらに理事会において説明、全剣連案としての承認を得ました。この案はさらに細部の調整を加え、できるだけ関係者の理解を得るとともに意見も求めて、11月2日の全日本剣道選手権大会の前日に開催の理事会、評議員会に付議し、実質的に固める段取りを考えています。またこれに関連する事務処理のための各種の書式、表の様式などの準備も平行して進めており、来年度からの実施が円滑に進むよう準備中です。

遅れていました居合道、杖道についての規則関係の準備は、急いで作業に取り組んでおり、同じく11月2日の会議で披露する予定です。居合道、杖道に関しては、称号・段位制度の大綱は、すでに決まった剣道の規則に準ずることになっていますから、これまでの場合と同じく、細則、実施要領についての特例を定めることで十分と考えています。したがって作業は主に技術的内容を詰めることになることを予定しております。そして剣道と同じく、来年度からの実施になります。

さて称号・段位制度と運用の見直しは、枠組み作りの仕事は大詰めに近付いております。しかしこれを実施して、所期の目的、すなわち日本の剣道の活性化と向上を進めることは、長期にわたる努力が必要なことをお互い改めて心に銘記したいと思います。

和歌山で東西対抗剣道大会

第45回という歴史を重ねたこの大会を、初めて迎えた歴史と自然に包まれた和歌山市ですが、名前からの受ける印象そのままの新設間もない、和歌山ビッグホエールという立派な会場で9月26日に開催されました。

試合は一昨年より定着した女子の部5組に始まり、続いて活気溢れる3組の六段の試合から本戦に入り、例年どおり35組の対抗戦を展開しました。対抗試合としては初めから接戦が続き、ほぼ互角で最後10組の八段戦を迎えましたが、ここで一方的に西軍が勝ち星を挙げ、前年と逆の展開で、大差で西軍の勝利となりました。

総体としての印象は、個々の対戦が実に充実した試合の連続で、中陣でのダレた感じもなく、後陣に持ち込まれました。しかしここでの一方的展開が、対抗戦としての盛り上がりを欠く結末になったことは否めません。

女子の部では充実した試合が行われ、東西対抗大会としてもふさわしい内容と見られました。

総じて実績のある選手がそれなりの結果を出していたことは、表彰された優秀選手、またこの大会ならではの優秀試合賞の顔触れにも反映されています。ただここで取り上げたくないのですが、一流の方を揃えた審判の判定、運営などに首を傾げる陰の声があったことは付け加えておきます。

さてこの大会、地元和歌山県剣連の皆さんのご尽力もあって、整然と終了し、選手の奮闘と相俟って、大会の目的を十分達成できたと言って良いと思います。

ところで歴史あるこの大会の選手選考は、各剣連からの推薦に基づいて、段位別、年齢別に、監督も加わった別々の選考委員会で選考決定されます。各剣連からなるべく1人は参加者を選んで貰いたい気持ちはありますが、あくまで「心技ともに円熟した剣士を選抜する」という大会の方針が優先しますので、選手を出せない剣連が出ることもあるのは、やむを得ないことです。試合で「剣道の真価を示す」ことができる剣士を推薦して戴くことをお願いしておきます。

日本海側二県での行事を視察して

10月には珍しく日本海側の隣接県で続いた行事のため、鳥取市と福井市を訪れました。

鳥取市では第25回社会体育指導員養成講習会が、9日からの連休の3日間、鳥取県民体育館で開催されました。参加者約80人、そのうち70人が鳥取県の方で、恵まれた施設の中、熱心に受講され全員が資格を得られました。県の人口は60万人で全国最下位ですが、大県を上回る受講者を集めた関係者のご努力は、いずれ地域剣道の発展として実を結ぶことを確信して鳥取を去りました。

結局大阪を通って到着した福井市では、通称「ねんりんピック」、正式には第12回全国健康福祉祭の剣道交流大会を拝見しました。この大会は厚生省、福井県、福井市などが主催、主管福井県剣連、全剣連は後援の立場です。年配者の国体といった趣の大会が、各種目全県下に繰り広げられます。

参加は府県の他、政令指定都市が加わり、55チームで優勝を争います。参加選手は60歳以上、七段までの方ですが、年配者の修業が当たりまえの剣道では、大正生まれが多数参加活躍、最高年齢は80を超えた大正7年生まれの方でした。大会初日の10日には常陸宮と妃殿下の行啓があり、短時間でしたが熱心にご観戦戴けましたのは、剣道界として光栄でした。大会は福井県A、Bチームの決勝となりましたが、ここ数年の大会がいずれも同じような形で、地元の勝利で決着しています。何年もかけての強化の成果ということで、開催県の努力に祝意を表しますが、審判における地元の利も一部感じられたのは事実です。

ともあれ交流大会の名のとおり、参加者はお互いの交流と勝負を楽しむ、和やかな雰囲気に包まれ、年配者の剣道振興に大きな効果があるものと実感しました。

開催地の福井県も、人口では全国下位の五指に数えられる所ですが、運営に当たられた剣連と多数の方の献身的努力、さらに自治体の応援によって成功したこの大会は、地元の剣道の今後の活動の活性化と発展に好い影響を与えることを確信しました。

断片

(1)内閣改造で二人の剣道人閣僚

去る10月4日の小渕内閣改造で、2人の剣道愛好者の閣僚が生まれました。まず法務大臣に就任された臼井日出男氏は、以前から全剣連顧問になって戴いており、すでに防衛庁長官を経験されていますが、学生時代から剣道を愛好された剣道五段の受有者で、武道議員連盟の事務局長の世話役もやっておられます。次に話題を呼んだ自自公連立内閣の成立で、公明党から入閣され総務庁長官を仕留められた続訓弘さんは、東京都庁時代から励まれた居合道七段の実力者です。

お二人の大臣就任にお慶びを申し上げ、難局を一刀両断で切り開いて戴くことを期待しましょう。

(2)秋の全剣連表彰者の選考進む

第5回を迎える剣道功労賞、有功賞受賞者の選考は、すでに各剣連や団体からの候補者の推薦を戴き、全剣連推薦の候補者を加えた名簿が集まっており、選考作業に入っております。10月20日の選考委員会の議を経て、11月2日の理事会で決定、11月3日の文化の日付で発表されます。有功賞の受賞者は例年程度の数になりますが、功労賞受賞者は例年を下回る見込みです。

(3)事務局亀澤氏ネンリンピックで奮戦

社会体育講習の主ともいえる事務局亀澤優七段は、福井市での大会に二度目の出場、東京都チームの監督兼大将として大会に臨みました。結果は・・・。交流を楽しまれたようです。

(4)東西対抗大会視察に韓国剣連首脳が来日

このたびの大会に大韓剣道界の李会長、李専務理事、徐国際部長が来賓として来日、忙しい日程の中、大会を視察され、また全剣連との交歓を行いました。

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