文化の日の全日本剣道選手権大会は、毎年の剣道界の目玉となる行事ですが、今年は全剣連設立50周年の記念行事として、20年振りの全日本選抜剣道八段優勝大会を取り上げ、11月2、3日の両日に亙り併せて開催します。2つの大会の間に、各層の剣道人による特別演武を、両日に亙り込みます。
すでに先月号にお知らせしたように。古流を含めた剣道、居合道、杖道の形の他、少年剣道指導演武、高校生、大学生の代表者試合、女子高段者試合四組、欧米、アジアを代表する外国人高段者試合四組、さらに若手七、八段剣士が、長老谷口範士にかかる模範稽古などを、2つの優勝大会の試合の間に織り込み披露され ます。
剣道八段優勝大会は、剣技にすぐれ円熟の域に達した、50才から60才に至る八段の剣士24名により優勝を争う大会で、レベルの高い剣道試合の醍醐味を示す展開を期待します。
すでに出場剣士、組み合わせも決まって、全日本選手権大会の分とともに、本号に掲載されています。
敗戦、占領に続く、主権回復から発足した剣道界が50年を経て、ようやく達した剣道の現状と水準を、2日に亙り一般に見て戴くよう盛り沢山の内容を織り込んで設定した大会です。
出場剣士には最高の演武の披露を期待するものですが、剣道愛好者、また剣道に関心を持つ方々には、お誘い併せてこの世紀の大会にご来場戴き、観戦されることをお勧めします。
第48回を数える全日本東西対抗剣道大会は、静岡市から東海道線を西に進み、五十三次の難所大井川に至る中間の、藤枝市に完成した静岡県武道館で、9月29日に開催されました。
今年は設立50周年記念の大会として、前年出場の有無にかかわらず、優秀剣士を選ぶ方針での選手推薦、選考が行われており、参集した剣士は東西それぞれ35名、女子5名づつを合わせて80名の剣士による、日本最高の対抗試合が展開されました。
2年間勝ちを東軍に譲った西軍の意気込みは、選手選考にも表れ、全県から選手を出していた前年から、今年は4県が選ばれず、大将には前年に続いて、大阪府島野範士を据えるなど、勝ちを狙った布陣を取りました。
まず行われた女子の部は、5年振りに東軍が制しました。続く本戦の試合経過は、前陣から両軍の実力伯仲の一進一退の熱戦が繰り広げられ、三将戦に至って同点、西軍島野教士と東軍千葉教士の戦いは13分を超す、見応えのある攻防ののち千葉教士の上段からの小手が決まり、東軍が勝ち越しました。しかし副将、大将の範士の対戦を、西軍が連勝して3年ぶりの勝利は、選手の選考が功を奏したといえる結果でした。
この大会での東西の選手区分は、現在の居住地で決まるわけで、西の出身者で東に入る、またはその逆も多いわけです。東西対抗といっても、近年は剣風や間合の差などはほとんど見られなくなり、その意味では、常識的に日本を二分して選抜された一流の剣士による、充実した対抗試合であり、これが大方の期待する所でもありましょう。
その意味では今次大会は十分その期待に応えたものとして、見るものに気の抜けない充実した対戦を、初めから最後まで展開してもらえました。出場された選手各位の奮闘を多とするものです。
来年の国体会場になるこの武道館での大会への、地元のご努力は行き届いたおり、剣友でもある石川静岡県知事も来場され、会場を埋めた大勢の観客とともに、大会を一層盛り上げて戴いたことを申し添え、謝意を表させて戴きます。
さて大会の機会に全剣連は、例年どおり相談役、審議員にもご参集戴き、相談役会、審議会、理事会を開催、それぞれ、報告、打ち合わせ、審議を行う有効な場にもしていることを付け加えます。次回は滋賀県大津市での開催になります。
新しい体制での強化訓練が、去る10月3日から4日間、勝浦市日本武道館研修センターで行われました。選ばれて全国各地から参集した剣士、まず男子は、警察官、教職員、会社、官庁関係者を合わせた35名、大学生10名、高校生10名を加えて合計55名、これに女子の警察官、教職員、会社、公務員が12名、大学生5名、高校生8名で、合計25名で、総勢80名による講習会です。講師陣は西山泰弘担当常任理事以下12名、これにコーチ3名が加わる手厚い指導陣で、充実したスケジュールをこなしました。
さらに今回は試合練習を重視している日程に対応し、審判基幹要員の講習を併せて行うこととし、福本担当常任理事以下の、八段の基幹要員19名が1日遅れて参加、6試合場で行う、強化訓練参加者の練習試合の審判を実地に行って、研究し成果を収めました。
このように2つの講習を組み合わせたことは、結果的に極めて合理的な方法であったと思います。また合同稽古の時間には、元立ちの八段勢が30名を超す豪華な陣容で、掛かる剣士のレベルともども、国内のどこでも見られない豪華な稽古が展開されました。
現在全剣連は設立50周年を迎え、幾つもの行事を進めてていますが、これに続くべきポスト50年の剣道の発展のための施策に取り組まねばなりません。
今回の強化訓練に参加した16才から最高35才の講習生は必ずや立派な剣道人として育ち、これからの日本の剣道を支え、かつ発展させることを確信しますし、この中の多くの者が迎えるであろう、全剣連設立100年の年まで活動することを期待しています。
この講習会はポスト50年の、人材の養成事業として最も有力なものであろうと思います。
敗戦後の占領下にあって、学校剣道の禁止から、社会一般での剣道の公的な活動もほとんどできない状態が続いた中、多くの人々が目立たぬ形で剣道の活動が続けてきました。その流れが講和条約締結の頃から、集まって一気に盛り上がり、続いて各地での剣道連盟の結成となり、ここに50年ということになります。
「剣窓」ではできるだけ当時の様子を記事に取り上げてきました。しかしこの時代に大会を開始し、それが連綿と今日に至っている例は、他に見ることができないものかと思います。その大会が昭和24年に始まり、本年第54回を迎える豊肥剣道大会です。今回機会を得て9月23日の大会を拝見することができました。
この大会の沿革と内容は、これを推進してこられた大野郡剣連会長で、大分県副会長の成田三吉郎氏と、大会事務局長を勤められる合澤睦就氏により、平成13年1月号ならびに7月号に紹介されていますのでそれに譲ります。大会が行われる三重町は、大分市より熊本市に抜ける豊肥線沿線で、大分市より30㎞ほどの所にある静かな小都市です。当初わずか20数名で始められ、また現在の立派な体育館ができた平成8年までの、40何年間は野外で行われてきたことも驚きです。そして現在は24種目に優勝旗を用意し、近県からの参加者を含め1,600名の剣士による盛大な大会に成長したのですが、ここに至る間の関係者のご苦労は大変なものだったと、ご努力に敬意を表します。
この大会の試合は全部一本勝負で行われるのも特色ですが、珍しいのは小学校1年生から6年生までの男女12種目の個人戦があることでしょう。ともあれ大都会でない場所での手作りのこの大会が剣道の普及に果たしてきた役割の大きさ、また他にも各地であったかとも思いますが、この様な活動が、日本の剣道を支えて来たのであろうと痛感させられました。
豊肥剣道大会小学1年生の対戦
10年ぶり、2度目のポスター募集、予想以上の反響を呼び、244点もの応募がありました。前回に比較して格段に優れた作品が多かったのは、主催者側として心強い限りです。選考で絞られ、入賞作品が決まりましたが、次席の作品の作者を見た所、10年前の最優秀の入賞者金子あいさんの作品だったのには一同驚くとともに感心させられました。
結果は別掲のとおりで、優秀作品はポスターになりますが、いくつかの作品を絵葉書にして活用してはと思っています。