12月2日に行われた50周年の区切りとなる式典の報告から始めます。記念式典は九段のホテルグランドパレスで午後3時から行い引き続いて祝賀晩餐会に移りました。
ご案内したのは全剣連役員、審議員、相談役、顧問、専門委員、全国の剣連の代表、本年記念大会で優秀な成績をあげられた方の他、関係官庁、武道団体、報道関係者、表彰、感謝状贈呈対象などの来賓の方々、その他平素ご厄介になっている方々でした。
もっと広くお招きしたかったのですが、会場の都合、あとの行事の関係で切り詰めざるを得なかったのですが、300人近い方々にご出席戴きました。式典では来賓として来場された、橋本龍太郎、松永 光、野中広務、國松孝次の方々から祝辞と激励を戴きました。
また席上で、本年度剣道功労賞を受けられた方々への贈賞、記念事業のポスター入選者の表彰も併せ行い、盛会裡に充実した式典を終えることができました。
続く晩餐会は、雅楽、講談、洋楽などの披露のもと、落ち着いた雰囲気で、50周年を祝って戴きました。一部不手際がありました点はお詫びしますが、新しい50年の出発点の行事として有意義に終えることができました。
まず特別表彰の宮崎正裕君については、選手権大会での連覇2回を含む6回優勝という前人未到の成績のほか、世界選手権大会その他の試合における抜群の成績という剣技に加えて、剣道人としての充実に対し、初めての特別表彰をいたしました。
都道府県対抗大会における3連覇の大阪府剣連は、10年前に宮崎県剣連の例がありますが、女子を加えて7人制の総力戦になってからの実績は表彰に値するものと思います。
意義ある大会を長期にわたって、開催して戴いた方々の、大会実施に対する功績を対象に、主催者を表彰したものです。剣道を本務としない団体を主としました。
まず高校生の試合である新聞社主催の玉竜旗大会、魁星旗争奪大会は、規模と歴史の面で群を抜いたものです。後者は大会前に講習を加えている点でも高い評価を受けました。
剣道八段戦を独自に毎年開催され、本年まで26回続けられた博物館明治村、選抜少年剣道錬成大会を他に先駆けて開始し44回に至り、全国的規模に育てられた水戸東武館、全剣連発足より以前の占領中の昭和24年から、大分県の小都市で開始し、近県の少年まで集まる盛大な大会を今日まで継続し、本年第54回を数えた豊肥剣道大会を主催の大分県大野郡剣道連盟、熊本県南部の小都市で始まり、本年第13回まで続けられた丸目蔵人顕彰「選抜剣道七段選手権大会」の主催者熊本県錦町、また戦前の実績の上に、占領末期に再発足して、全剣連発足の準備打ち合わせの場ともなった吸引力を持ち、今年52回を数える日光剣道大会を主催の日光東照宮。さらに大阪府剣連の下部組織ではあるが、全剣連主催の大会に先駆けて、居合道大会を開催、全国規模に発展された大阪居合道大会を主催の大阪府剣連居合道部会が表彰されました。
「竹刀および剣道具規格の作成」を主導された、全国武道具連合会、ジャパン武道具用品工業会が表彰されました。
また全剣連職員関係で、「剣窓」などの広報、編集業務の業績につき、内藤 達(現専門委員)、事業関係業務への貢献につき、川野雅英、審査システムの電算化、業務の情報化の業績につき伊藤 博、さらに20年良好な成績で勤務した青木 孝を表彰しました。
なお各剣連などで行う、歴史ある立派な大会は数多くあろうと思いますが、今回の表彰対象からは除外しています。しかしこれらの大会を活気付けるため、全剣連は全部の剣連に対し、50周年記念全剣連抔を一点ずつを寄贈し、それぞれの重要な大会の奨励に活用して戴くことにしました。また主なブロック大会や、関係団体の大会にも、ご希望に応ずる形で、同様の処置を取りました。
良い大会の剣道普及のための効果が大きいことは言うまでもありませんが、剣道の基礎を形作るのは稽古です。それこそ全国津々浦々で行われている稽古会ですが、記念行事の目玉の一つとして歴史が古く、特定の対象に限定せず、広く愛好者を集め、錬成に大きな役割を果たしてきた稽古会を取り上げ表彰させて戴きました。
ここでも自分のところの学生や職員の訓練のために業務として行っているものや、都道府県剣連自体が実施しているものは対象外とし、概ね40年以上の歴史を持つもの、週4日以上の稽古を続けているものに限り、50周年表彰にふさわしいものとして、6つの稽古会を取り上げました。
まず全剣連行事に対する寄付、助成、補助、などの援助を戴いた方、施設、役務などを提供戴いた方を併せ、10団体に感謝の意を表させて戴きました。
また海外での剣道の普及発展に尽力戴いた13人の方にも感謝状を贈りました。日系人のほか、外国人も対象になっています。
つぎには50周年に当たり、戦後の剣道の維持、復興のため、またその後各地での剣道指導、育成、奨励に努力、貢献された方に、全剣連として感謝の意を表したいものと、各剣連関係団体に推薦をお願いしました。その結果全国から900人余の推薦を戴きました。この中には武道具の製作に長年精励された方も含まれています。これらの推薦書について書面審査を行い、問題のない方に感謝状を差し上げることにしました。その対象には、一部団体を含みますが、914の方々です。私も責任者として、全部の推薦書に目を通しましたが、90才を超える方を初め年配の方が多く、日本の剣道がこれまでになるのに貢献戴いた方が、全国各地にこんなに居られたことを感じ、感銘を受けたことでした。
式典、晩餐会の招待者は、先に紹介したとおりですが、ここでは年配者が主体になります。今回の催しは50年の節目の年を祝うのですが、一方これからの発展を目指す新たな出発点でもあります。つぎの50年、平成64年の、全剣連設立100年がつぎの目標になります。
その時期まで剣道界を支える活動をしてくれる人々にも出席して貰わなければとの考えで、若い人の枠を設けました。対象は原則40才未満の人、優秀剣士のほか社会人として活動する剣道人です。情報システム委員会の専門委員も入ります。
大会で優秀な成績を納めた方も含み、剣道人としても社会活動で、実績のある人ということで、総勢50人余りを選び、招待者に加えました。働き盛りの面々であり、出席できない人も多く、30人余りが出てくれました。「全剣連100周年までの剣道界を支え得る若手剣道人」ということですが、「タイムカプセル要員」という略称もあります。筆頭者は特別表彰の宮崎正裕君でしょうが、長期にわたるご健闘を期待します。
11月に展開された審査会、記念行事の間を縫っての大仕事です。全剣連担当者や受審者にとってはもちろんですし、大勢の審査員を煩わす他、係員にも手伝いをして貰います。それらの仕事が旨くかみ合って、審査会が運営されるわけですが、段位審査ではこれまでで最高の受審者の数でしたが、まずは審査内容を含め、順調に終了しました。
今年は剣道八段審査の会場を広い日本武道館で行えたことも、見学者の便を含め良かったと言えます。
称号受審者も増加しましたが、教士審査は厳しくなってきました。また錬士審査で不合格者が出たことも目立ちました。
ともあれ合格された方にお慶びを申し上げ、多数の不合格の方は、ぜひ修錬を積まれ再度挑戦されることを期待します。
(1)新年の挨拶は巻頭頁で済ませ、例年取り上げる「10大ニュース」も、年明け執筆の2月号に譲ります。
(2)12月初め秩父夜祭りに参り、主会場で若い神職にお会いしたところ、「剣窓でお目にかかっています」とのご挨拶を戴きました。筆者として大いに励みになります。