2007年4月号

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今月のまど

記録的暖冬で東京は一度も降雪を見ないまま春を迎えることになりそうです。

世界的にも暖冬が続き、燃料消費が減って、高騰した原油価格の低下に一役買ったことは結構ですが、山岳地帯の雪が少なく、春の水不足が心配されており、社会現象の複雑さを感じさせられます。ともあれ今年は九段の桜も新年度を迎える前に見られそうです。

さて本題に入りますが、新年度の計画をご紹介する前に、年度末に仕上がった3つの案件をご報告します。これらはいずれも全剣連が企画し、実行した事業で自画自賛になりますが、全剣連、剣道界にとって歴史に残るものであると確信します。これらの具体化に努力された方々に深謝いたします。

Ⅰ.「剣道指導の心構え」決定される

平成15年より3年掛かりで、長期構想企画会議で取り組んできた「剣道指導の心構え」が説明文の検討を終え、全剣連諸会議の審議を経て、3月14日に最終決定される運びになりました。

「剣道の理念」策定より30年余、その各論といえるものが実現し、今後講習会資料に掲載されるのを手始めに、指導の指針となり、剣道の内容の向上に効果をあげていくことでしょう。歴史的ともいえるこの文言の作成に当たられた長期構想企画会議の國松孝次初代議長、現加賀谷誠一議長ほか議員、幹事としてお骨折り頂いた皆さんに深甚の謝意を表します。

なお今月号までの5回にわたって連載された解説をご覧ください。

Ⅱ.社会体育指導員養成講習の10周年記念式典を実施

平成7年10月に第1回初級対象の講習会を行ってから、中級、上級にいたる講習を進め、5千名の資格者を生んだ事業の記念式典を3月3日(土)九段会館で行いました。

関係者49名の出席の内輪の会でしたが、ゼロから出発して今日に至った全剣連事業の実現に、お骨折り頂いた20の団体、個人に感謝状を差し上げ、発足にいたるまでの企画段階から実行段階の苦労と多くの参画された方の努力を偲んで懇談しました。

今後一層の内容充実、資格の活用に力を入れて行きます。

Ⅲ.骨太剣士養成講習第一期終了

一昨年11月に人選、第1回講習会を行った新しい養成計画は、2月の第5回講習会で第1期を終え、52名に修了証書を授与しました。

試合練習を一切行わず、多数の若手講師の協力のもと、もっぱら今後の日本剣道界を担い得る、地力ある剣士の養成を目指した新しい講習制度です。

講習会ごとに「手応えを感じさせる」と印象を「まど」に記した覚えがありますが、終了者の今後の成長を関係者は期待しています。

続いて新年度八月から第二期養成に取り組みます。

平成19年度事業計画固まる

新年度の全剣連事業計画が固まりました。指導・教育を通じて、レベルの高い剣道を育てること、普及を進めて愛好者を増やす努力をすることなどの基本方針には変わりありませんが、新年度はこれまで積み上げてきた資料、システムを生かし、各現場で成果を収めていくことを目指します。一方社会一般の剣道への理解を深めるため、広報活動、文化活動を強化していきます。

主要な点を以下紹介します。

講習全般については指導力の強化を目指し能率化します。
社会体育指導員養成講習は引き続き重点として実行しますが、資格が活用されるよう関係方面への働きかけを進めます。

講習計画を各剣連、団体が立て、これを全剣連が応援する方針を継続し、援助を拡大していきます。

若手剣士の強化訓練は重点として三本立てで行います。まず第1期を終了した選抜特別訓練講習会は、高校生から社会人にいたる25歳以下の若手約60名を選抜し、第2期2年間の訓練に取り組みます。また日本代表クラスの男女剣士強化は、先般の世界大会の結果の反省に基づくプランを立案して進めます。

審査では、受審者が増加した剣道八段審査を2日に分けて行います。また経費のかかる離島などで審査会の実態を調べて経費の援助を行います。

国際普及のための援助を極力拡大しますが、必要な財源確保のための賛助会員募集を検討します。

事務能率の向上、一般への広報の充実のための電算化、ホームページの普及を行うべく、未着手団体への応援をします。

国際剣連のGAISF加盟に伴って要請されている、アンチ・ドーピング規程などを作成します。

最後に全剣連設立55周年記念事業として、全国の剣道組織、人口の把握を行いたく、各剣連と協力して剣道国勢調査(仮称)を行います。
また5年ごとの高段者名簿も刊行します。

全剣連収支予算は赤字予算を継続

事業計画に対応する収支予算ですが、下位段の減少による登録料収入の減少を見込まざるを得ず、引き続き苦しい予算になります。

管理費関係支出は押さえますが、超安全運営を行ってきた、蓄積資金の運用を世間並に改善することにし、資金運用規程を制定し収入増加を図ります。

支出では55周年記念行事のための費用のほか、他の事業においても必要な手当を行いました。その結果前年度予算と同様、近年の余剰金から3千万円を補填することにして、一般会計6億4千万円の予算を組みました。補填のための諸料金の改定等は予定しません。

以上2件は3月14日の評議員会、理事会で決定されます。

ホームページ・コンテスト表彰者決まる

予想外の応募者で担当者に嬉しい悲鳴を上げさせたHPコンテストの審査が、2月21日に行われ、予選通過の20件の中から、入賞者、特別賞授賞者を決定しました。別掲記事でご覧ください。

初めての企画に多数の応募があり、各地でそれぞれの団体での剣道の普及活動の草の根的努力が実感され、喜ばしく思いました。

HPの活用が質・量の両面で高まっている状況を見るにつけ、時代に遅れないよう各剣連段階での一層の努力が必要と感じます。

マカオ剣連に専用道場竣工

ポルトガルから中国に返還されたマカオには、すでに剣道連盟が発足しており、7年前に国際剣連に準加盟し、先般の世界大会にも出場しています。

今般市内のビルに剣道場が設置され、2月10日に開所式が行われ、お招きを受けて全剣連事務局黒瀨有申主幹とともに参加しました。

道場は工場跡のビルの四階に設けられ、「誠武館」と名付けられ、神棚のある純日本式道場で、鄧剣連栄譽会長が寄贈されました。

午前の稽古会のあと、式典が行われました。中国各地からの参加もあり、樽酒も出る和やかなパーティーもありました。マカオは返還後急速な経済発展をしており、名物のカジノは規模で米国ラスベガスを抜いたと報じられています。

剣道人口は二百名ということですが、専用の道場を得て今後の発展が期待されます。

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マカオ剣連剣道場開所式前の稽古会参加者(前列中央が筆者)

断   片

①全剣連頒布物インターネット販売開始

これまで一般通信でしか注文、購入ができなかった全剣連頒布物をインターネットで購入できるようになります。本年7月から運用開始を予定し準備を進めています。

②全日本武道具協同組合で竹刀安全SSP運動展開

安全規格に合致しない不良竹刀が跡を絶たず、関係者を悩ましています。流通している規格に合わない竹刀を、知らずに買って使っている場合も多いようです。販売時に識別しやすくするために武道具業者は今般SSP事業(竹刀・安全・推進事業)を始めることになりました。全日本武道具協同組合では、全剣連の基準に合致した竹刀に、SSPシールを添付して品質保証し、購入者が識別しやすくすることによって安全の向上に資することを狙いとしています。この事業は6月から始められる予定です。

③社会体育上級指導者講習で初めて全員合格

大阪市舞洲アリーナで3月9日より3日間開催された、本年度4回目の社会体育指導員養成の上級講習会、参加者は少なく20名に止どまりましたが、受講者全員が合格という好成績を収めました。これは6回目の上級講習で初めてのことで、上級資格取得者数は、合計229名になりました。

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