10th All Japan Interprefecture Ladies KENDO Championship
昨年は、3年連続の決勝戦進出、2度目の優勝にかける「岐阜」と、この度初めて優勝戦線に名乗りを上げる「鹿児島」が決勝を戦った。
まず先鋒は鹿児島が一本勝ちでリード、次鋒は引き分け、中堅で岐阜が二本勝ちして優位に転じる。しかし、副将戦で鹿児島が一本勝ちを収め再び盛り返し、初優勝に王手をかける。一進一退で迎えた大将戦は、白熱した戦いが繰り広げられる中、岐阜の荻田が相手の居つきを逃さず、大技の引き面を決め、岐阜を2度目の優勝へ導いた。
本年、第10回の節目となる標記大会を迎えるに当たって、各都道府県から出そろった精鋭選手の顔触れと対戦の組合せを見比べ、大会の見所を挙げてみる。
このブロックには昨年3位の「京都」がいる。続いて8強の「大分」となるが、他は「愛媛」の3回戦進出があるのみで、前回好成績を残したチームはいない。また、このブロックに配された中で、過去9回大会のうち決勝戦に進出したのは、第7回大会で2位となった「長崎」だけである。ちょっと淋しいが、その分どのチームとも、上位進出の可能性が秘められ、ひとつの激戦区の様相を呈している。
まず、その愛媛―長崎が左最上部に位置し鎬を削る。「愛媛」は、新進次鋒の近藤と副将馬越と大将三木が柱となる。「長崎」は、昨年と総入れ替えで臨む中、全日本選手権等で活躍した中村が久しぶりに登場する。
その下に位置する1回戦、兵庫―群馬は予測がつけがたい。新鋭の前田と鰺坂を軸とする「兵庫」と、昨年に続く副将岡田・大将反町コンビで臨む「群馬」、さて軍配は。
このブロック最有望と目される「京都」は、昨年に続き牽引役を務める橋本、それに世界大会や全日本選手権等で数々の実績を残す杉本と田中が二枚看板となる。
その下にいる「大分」は、昨年、優秀選手賞に輝いた大将の岩本を主軸に、3年連続して副将を務める衛藤の働きぶりに行方がかかる。
神の悪戯(いたずら)か天の配剤とするか、強者揃い踏み。このブロックにいるチームが、過去9回大会の内、優勝6回を占めている。
ちなみに「新潟」が第1回と第6回、「岐阜」が第7回と第9回、「大阪」が第8回、「福岡」が第2回である。
宮崎―新潟、「宮崎」は興梠・長友の後ろ二枚が強い。「新潟」はこのところ冴えを見せないが、次鋒小川の突破力に期待がかかる。
この勝者と対する「広島」は、突出した選手はいないものの、総合力としては他に引けをとらぬ。
岐阜―高知、まず群を抜いているのは「岐阜」の決勝戦への進出率が55.6%(9大会中5回)という高さである。それぞれの選手が実力を有する事はもちろんではあるが、与えられたポジションをしっかり守って戦い抜く選手の姿勢が、ここまでの実績を積み上げた。今年も竹村と荻田が健在で、連覇と3回目の優勝を目指す。「高知」は永野・市川・津野・松田と、副将を除く先鋒から大将4人が連続出場を果たし、チームワークの良さでこれに挑む。
この勝者に対する「千葉」は、昨年8強ながらも次鋒から大将まで総入れ替え、高校生で連続出場する先鋒北田にかかる期待が大きい。
その下は、初戦で前代未聞というべき東西両雄相撃つ東京―大阪の好カードとなった。「東京」は阿部・久木山・鈴木、「大阪」は玉置・山本・川内とそれぞれ有力選手がいかなる働きを見せるか。この勝者、ここを抜けてもまだ大きな難関が待ち受けている。
その最大の関門が「北海道」か「福岡」か。北海道は福田・寶金・渡邊の三本軸でチームを支え、上位進出を狙う。また福岡は、強者でならす妹尾と糸山が先陣を張り、ベテラン徳留・川野が後を締める穴の無い布陣を敷く。
今大会の組み合わせは過去9回大会の内、第2ブロックに6つの優勝チームが固まる他、残り3回の優勝が、しかも第3回(佐賀)、第4回(茨城)、第5回(埼玉)と3年連続、この第3ブロックに偏るという歪(いびつ)な構図となっている。
茨城―岩手、「茨城」は柿元・竹中・西の前哨隊の出来にかかる。「岩手」は昨年の3回戦進出に引き続きさらに上位へ、藤澤・中村・遠藤の後半に勝負をかける。
その勝者と対する「滋賀」は、磯田・門間・寺原が昨年の2回戦敗退を乗り越えるべく、全力で挑みかかる。
岡山―沖縄、「岡山」は今まで優勝こそないものの2位2回、3位1回他、常に上位戦線に這い上がる屈指の強豪。横道から三宅へとつなぎ、不動の大将忠政で押さえる。対する「沖縄」は面技冴えるペリー里佳、活気溢れる宮城、強者森下を大将に据え、一歩も退かじと陣を張る。
昨年3位の「佐賀」は、第3回大会で優勝したその翌年、同年優勝の「茨城」に1回戦敗退を喫したのみ、全国で最も初戦敗退率が少ないチームである。今回も引き続き庄島・宮﨑・櫻木が健在で、上位に睨みをつける。
「愛知」は、過去8強が最上の成績で、昨年は3回戦敗退に涙を呑む、本年は中村・志田・今道を要に一矢報いたい所。
「埼玉」は、第5回大会優勝の他、過去3位3回の好成績を誇るが、昨年は初戦敗退で意気消沈。捲土重来を期し、金子監督のもと大将市村、全日本選手権5度優勝の村山が意気込む。
ブロック上で安定感あるのが「熊本」。揺るぎない監督三嶋が率い、今輝く桑野・渡邊に続き、強者緒方が今かと出番を待つ。その1回戦、「香川」も前3人、佐藤・田中・福田の出来・不出来に命運がかかる。
ブロック下は、昨年2位の「鹿児島」がいる。持ち上がりの是枝監督が采配を振るい、阿世知・下川・西が昨年の雪辱、初優勝に懸けて奮起する。その1回戦、対する「福島」も侮れない、次鋒佐藤の戦いぶり如何(いかん)、副将山田・大将阿部に回せば勝機も生まれる。
その下の福井―奈良が興味深い。本年の国体開催で燃える「福井」は、先鋒堤腰・次鋒八幡、そして中堅大西へとつながれば波に乗る。一方、「奈良」は次鋒相原・中堅寺園・副将堀尾の中3人が勝負所。
その勝者には「三重」が対するが、昨年の大将から監督に上がった井上率いる、次鋒井上・中堅川口・副将西村がどこまで食い下がるか。
果たして今大会の行方は。ぜひ、日本武道館に足を運ばれ、観戦されたし。
広報委員 真砂 威
▲上記写真:前年度 第9回大会優勝 岐阜県チーム
作 道 正 夫(大 阪)
井 島 章(千 葉) ・ 佐 藤 勝 信(東 京)
浦 和 人(兵 庫) ・ 清 水 新 二(熊 本)
北 本 薫(北海道) ・ 金 井 優 子(茨 城)
茂 呂 由 美(栃 木) ・ 内 野 尚 美(埼 玉)
栗 田 幸 枝(埼 玉) ・ 小野寺 枝 美(東 京)
古 谷 崇 子(東 京) ・ 山 﨑 洋 子(東 京)
大 塚 真由美(神奈川) ・ 鈴 木 久美子(神奈川)
柴 田 則 子(新 潟) ・ 岩 脇 律 子(石 川)
美 和 しのぶ(静 岡) ・ 石 原 たまみ(愛 知)
永 瀬 由 香(岐 阜) ・ 西 田 康 子(大 阪)
三 上 由美子(大 阪) ・ 今 村 智香子(和歌山)
阿 部 都貴子(兵 庫) ・ 川 原 清 美(兵 庫)
平 野 悦 子(徳 島) ・ 藤 田 和 恵(福 岡)
中 島 利 恵(大 分) ・ 田 島 悦 子(鹿児島)