アンチ・ドーピング委員会コラム_15

近年、ドーピングは、科学・技術の進歩により、成長ホルモン分泌促進ペプチド、選択的男性ホルモン受容体調節物質等と、これまで考えられなかった高度なレベルに進歩を続けており、巧妙に見つけにくくなってきております。またその様な確信的で専門的な違反に対応するために、検出法や規制もさらに厳しいものになってきています。

こういった実態は、ドーピングなど全く意識していないスポーツ愛好家にとっては縁のない世界ですが、それとは知らずに服用した薬が規則に触れると、非常に厳しい処分を受けてしまう危険性があります。何故なら、ドーピング防止規則は「出場選手はドーピングについてよく理解した上で参加している」ことを前提としており、「全ては自己責任」となるためです。

前述の確信的な違反に対応するためには仕方のないことかもしれませんが、多くの違反事例が、競技者に適切な情報が提供されていれば防げた、と考えられるのも事実です。

一般に市販薬やサプリメント、医師から処方される薬物がドーピング違反になるかを正確に判断するには、かなり専門的な知識が必要となり、自ら責任をもって注意するためには、専門知識が無いとかなり大変で、不安も残ります。

こういった場面で頼りになるのが「スポーツファーマシスト」です。これは日本アンチ・ドーピング機構(JADA)により正式に認定された薬剤師で、薬に対する専門的な知識と、アンチ・ドーピング規程を把握し、競技者が適切な薬物治療を受けられるよう、支援することを使命としております。これは日本独自の制度で、海外からも評価を得ているものです。スポーツファーマシストのホームページには、相談にのってもらえる公認スポーツファーマシストの名簿が載っていますので、誰でも探せて電話で相談できます。少しでも気になった時には、直接相談することをお勧めします。

アンチ・ドーピング委員会 委員 亀尾 一弥

この記事は、月刊「剣窓」2016年05月号の記事を再掲載しています。

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