日本アンチ・ドーピング機構(JADA)によると、2015年度には国内でサプリメントが原因と思われるドーピング違反例が少なくとも4例報告されています。いずれのケースも海外からの購入・輸入、あるいは海外製のサプリメントであり、国内企業のサプリメントについては、海外のものほど注意喚起がなされていませんでした。
しかし、2016年4月21日、健康補助食品販売会社の梅丹本舗が販売する「古式梅肉エキス」、「トップコンディション」の2製品から禁止物質が含まれていたとの報道がなされました。さらに、日本自転車競技連盟の公式サプリメントとしてオリンピックを目指すトップ選手が使用していたという今回の事例は、日本スポーツ界にとってショッキングなニュースとなりました。
このような事態になった経緯が、自転車競技関連のwebサイトに紹介されていました。 要約すると次のとおりです。
サプリメントなどを提供する場合、大塚製薬、味の素、森永製菓、明治、ドームの大手5社などは、JADAの審査を受けて販売しています。しかし、梅丹本舗はJADAの認定製品の新規募集がないため、審査を受けられませんでした。社内では第三者の検査が必要との議論から数年経過した後、イギリスの世界ドーピング防止機構(WADA)認定検査会社に依頼してようやく判明したようです。
これまで、全剣連アンチ・ドーピング委員会では、サプリメントを用いる場合は、JADA認定商品を使用することを勧めています。ただし、全剣連発行の『剣士のためのアンチ・ドーピングマニュアル』では、サプリメントには「絶対安全」はないこと、可能な限り食事で栄養を補給することが重要であることもあわせてお伝えしています。
あらためて、サプリメント摂取については「自己責任」であること、栄養は食事で補うことを心がけて修錬に励みたいところです。
アンチ・ドーピング委員会 委員 小澤 聡
* この記事は、月刊「剣窓」2016年08月号の記事を再掲載しています。