アンチ・ドーピング委員会コラム_21

近年、検査を逃れるためのドーピング手法とそれを検知する手法の開発はますます激化しており、まさに際限のない戦いが続いています。

直ぐに分解するように工夫された化合物や、人のからだで作られる物質と区別できない化合物などの開発、自分の血液を保存しておいて、再注入したり、検査時に他人の尿を自分の膀胱に注入したりする不当な手段などが次々と編み出され、それに対抗する検査方法を考え出すなど、イタチごっこが続いています。

そのたびに、検査費用が増加し、選手に血液検査を強いるなどの負担が増大する事になるなど、本当に無駄で馬鹿げた事が繰り返されております。海外のプロの世界では、組織的にこういった新しい方法を生み出し、ビジネスに結び付けている集団もあると言われ、選手を闇社会に引きずり込みかねない恐ろしさを感じます。

剣道にドーピングがどれだけ有効であるのか疑問ではありますが、不法な方法で簡単に筋肉量を増加させたり、持久力をアップさせたりする事は、日ごろ厳しい稽古を重ね、自分の限界を極める日々を送っている選手たちにとっては受け入れがたく、また、そういった手段を取っている選手に負ける事は耐え難い事と思います。

しかしながら、ドーピングの環境は、やせ薬を謳ったサプリメントなど、身近な世界にまで広がりつつあり、どの様な落とし穴があるか判りません。ドーピングはからだも心も蝕み、スポーツの素晴らしさを台無しにするものです。

剣道には縁が無いと考えずに、ドーピングの恐ろしさや健全なスポーツの素晴らしさを子供たちによく教える事は、これからの剣道の発展のためにも大切だと考えます。

アンチ・ドーピング委員会委員 亀尾 一弥

この記事は、月刊「剣窓」2018年2月号の記事を再掲載しています。

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