Anti-doping
競技・スポーツにおけるアンチ・ドーピング(ドーピング防止)活動は、1999年の世界アンチ・ドーピング機構(WADA)の設立や、2005年のユネスコ(国際連合教育科学文化機関)総会における「アンチ・ドーピングに関する国際条約(アンチ・ドーピング条約)」の採択を経て、ますます世界中に広がってきています。このように、国際的にも足並みを揃えた活動が求められるようになったことから、2006年12月に国際剣道連盟(FIK)においても、『FIKアンチ・ドーピング規程』が制定されました。
全日本剣道連盟においては、世界アンチ・ドーピング規程の発効に先駆け、1995年に「剣道試合・審判規則 第15条」の禁止行為に「薬物を使用すること」という条項を設け、アンチ・ドーピングへの取り組みを行ってきました。そして、2005年6月には日本アンチ・ドーピング機構(JADA)に加盟しており、『FIKアンチ・ドーピング規程』の施行を受けて、『全剣連アンチ・ドーピング規程』を作成、2007年4月1日より施行しました。
さらに、2014年「剣道試合・審判規則 第15条」の禁止行為に「禁止物質を使用もしくは所持し、または禁止方法を実施すること」付け加えました。
剣道理念は、「剣道は、剣の理法の修錬による人間形成の道である」とされ、その理念に基づいて、「剣の理法を全うしつつ、公明正大に試合をし、適正公平に審判すること」を剣道試合・審判規則の目的と定めています。剣道の技術向上をねらったドーピング行為は、剣道理念や試合・審判規則に含まれた理念から逸脱した行為であり、いささかも肯定できるものではありません。
JADAはドーピングを禁止する理由として、以下の4つを挙げています。全日本剣道連盟としては、これら理由に賛同しています。
ドーピングは薬を使用する方法が一般的ですが、競技能力を高めるために使用される量と頻度は、病気や怪我の治療のために使用されるものとは比べものにならないほど危険だと言われています。本来の想定外の量と頻度で薬を使用することは体を壊してしまう危険性があるためにドーピングは禁止されています。
スポーツ界はドーピングに対してはっきりと反対の姿勢を示していますので、大会に参加するにはドーピング禁止規程を守ることが条件です。スポーツ界の参加資格としてみんなが守っている禁止規程を自分だけこっそりと守らないで有利になろうとすることは不誠実です。
特に一流の選手には青少年に対する模範としての役割が期待されています。選手が薬を使って一流になっているとなれば、必ずそれをまねする青少年が出てきます。選手が薬まみれにならなければ、大会に参加したり勝てないようでは、競技・スポーツ文化は間違いなく世間から葬り去られます。
スポーツ固有の価値には、「倫理観、フェアプレー、誠意、健康、優れた競技能力、人格と教育、喜びと楽しみ、チームワーク、献身と真摯な取組み、規則・法規への敬意、自他への敬意、勇敢さ、共同体・連帯意識」があげられ、これらの価値がスポーツの中で、またスポーツを通じて培われると期待されています、決して「優れた競技能力」だけに価値を認めているのではなく、競技能力は多くの価値の中の一つに過ぎません。いくら世界記録を出したり、良い成績を残したとしても、ドーピングに手を染めた選手は絶対に認めてもらえません。
TUEとは、「治療使用特例」のこと。
禁止物質や禁止方法であっても、事前に所定の手続きによってTUEが認められれば、例外的に使用することができるんです。ただ、TUEが承認されていなければ、医療上の理由でも禁止物質・禁止方法を使用できません。もし、使用してしまうと「ドーピング防止規則違反」と判断されることがあるので、下記の承認条件を確認したうえで、十分注意して手続きを行ってください。
詳しくは、JADA「TUE(治療使用特例)について」をご覧ください。
▲ このポスターは、2016年3月に全日本剣道連盟が作成したものです。