2004年7月号

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今月のまど

忙しい5月を終えて早くも新緑の濃い6月、梅雨の候を迎えました。理事会・評議員会で事業報告、決算を終え前年度をしめくくり、役員も就任2年目を迎え、事業活動も本格化します。

5月の剣道段位審査を振り返る

総計5千人の方が挑戦された京都、名古屋での剣道六、七、八段の剣道審査会を終えました。すでにお知らせした八段の合格者14名に次いで、194名の新七段、291名の新六段が誕生しました。難関である八段に続く七段審査も厳しくなっており、今回の合格率は10.7%で、昨年5月の15%台に比較して下がっていることが目立ちます。ちなみに昨年秋の合格率も11%台ですから、この頃から厳しくなったことが窺われます。これは担当役員の変更に依るのはでなく、規則の改正、運用の変更など逐次行われている中で、段位審査における判定を、基準に照らしつつ進めていく段階での、審査員の評価の適確化を反映しているものと見ています。

規則にあるとおり、六段は「剣道の精義に錬達し、技倆優秀なる者」、七段は「剣道の精義に熟達し、技倆秀逸なる者」とされ、さらにそれぞれの段位に応じた「理合、風格、品位」を見て審査することが示されています。現行の規則が実施されて5年目の今日、審査が基準に応じて適正に行われる方向にあり、審査員も熟達して審査内容も向上しつつあることが感じられます。厳しい審査で知られる八段に次ぐ段である七段の基準を考慮すれば、受審者には厳しいかも知れませんが昨年秋以来の結果は当を得たものと感じています。

一方六段審査は15%前後の合格率て推移していますが、受審者のレベル、審査の実態から見て妥当な水準と思われます。

審査業務の次段階の検討

称号・段位委員会では地方剣連に委任している五段以下の審査のうち、まず学科試験の在り方、望ましい学科の例題作りの作業を進めています。

次の段階は審査業務の実行状況を把握することが必要です。そこでいくつかの剣連の審査現場に役員、専門委員が出向き、実態を拝見させて戴くよう計画中です。

計画に基づいて幹部教育を展開

(1)第13回目となる剣道八段研修会

5月27日から4日間、今年は会場を道場連盟の少年剣道錬成会館(日野市)に移して開催しました。これは昨年秋と今年5月に八段に合格された方の参集を求め、八段受有者の素養として期待される、心構え、知識、実技の能力を研修する、平成4年に始められた行事です。本年は2回の審査での合格者全員と、これまで参加できなかった過去の合格者2名を加えた34名の参加を得て、充実した日程を終えることができました。新たに利用させて戴いた錬成会館は、宿泊も可能で、施設の規模、環境、交通の便もよく、道場連盟にも何かとご配慮を戴き、研修効果も上がり、全国からの参加者にも好評でした。

(2)中堅剣士講習会を奈良市の鴻池中央武道場で

各剣連など推薦された剣道七段の剣士63名が集い、6月9日より5日間の錬成が行われました。現在の剣道界の長老、幹部の多くの方が、参加経験のある42回目という歴史の古い講習会です。柳生の芳徳寺にある正木坂剣禅道場が長らく会場として使われましたが、時代の変遷とともに、会場、参加者の選考方法なども変わり、施設と地理的条件を考慮して、現在の場所で全国からの参加者を一堂に集めて行うことになって4年目になります。

いわゆる指導者養成でなく、今後剣道界の中核になる剣士の実技能力の向上を目指しており、実力者講師も多数加わって、効果をあげることを期待しました。ただ梅雨期に行うのが講習効果の点でどうかとの意見もあり、日程の変更も検討課題として残されました。

(3)第9回女子審判講習会を東京で

女子剣士の審判能力の向上を図るため、剣道六段以上の女子剣士を対象として、平成10年から始められたこの講習は、現在は1年置きに東京都と兵庫県で開催されます。旅費、宿泊費は各人負担ですが調布市のNTT中央研修センターには、九州からの参加者も含め74名(うち七段12名)を迎え、5月22、23日に亘る講習を終え、女性剣士の中心となる方々の熱意、意気込みを示しました。

九州と関西地区の剣連会長会同を開催

昨年は機会を得ませんでしたが、とかくお会いする機会が少ない、各剣連の会長の方との顔合わせ、懇談を時に行いたく存じています。今回初めての九州地区の方々との会同を、6月4日福岡市全日空ホテルで開催し、7県の会長または副会長の方と、全剣連幹部との意見交換と状況報告の場を持ち、活発な質疑応答、意見交換が行われ、有意義な会合となりました。

続いて2年ぶりの関西地区県連会長との会同を、6月11日に大阪・梅田の会場で開催、6人の会長、副会長が参集され、意見交換、懇談の機会を持ちました。

いずれも全剣連行事がその地区で行われる機会を活用して開催していますが、今後も各地区で順次実施していくことを考えています。

平成15年度決算おおむね順調

15年度の事業報告と収支決算は、6月17日の理事会・評議員会で審議されますが、ここに付議すべき案が纏まりました。収支計算については幸い順調な結果となりました。

審査料など一部の値下げを行いましたが、受審者の増加がこれを補い、また段位登録者の減少からの収入減を、称号登録者の増加が補うなどして、事業収入は予算を上回り、当期収入合計では予算を5百万円上回る、6億1千万余円を計上しました。

一方支出面では、全般的に引き締め、合理化を重ねた結果、管理費では約1千万円の支出減、事業費では各費目とも予算を下回った他、特別会計への繰入金も同様の傾向を示しました。また、前年度に減らした道場建設積立金は増額しましたが、当期支出合計では予算を4千万円下回る5億6千万円に抑えることが出来ました。

この結果、当期収支差額は予算を上回る5千4百万円を計上し、基本財産への繰入などの積立を行うことにしています。

今回の決算については、全剣連としての合理化効果が出た面がありますが、各剣連、団体のご協力に負うところも大で、ここにお礼申し上げる次第です。

断片

(1)京都での剣道六段の受審直後に現場で倒れられた方

京都での剣道六段の受審直後に現場で倒れられた方は、入院治療の結果回復し、日常生活に復帰されたとのことで喜んでいます。かなり重篤な症状だったのですが、現場での応急の対応、また救急車での措置が適切であったことにより、危機を脱することが出来たそうです。全剣連が取り上げている救急措置の講習を一層徹底すべきことを痛感させられます。

(2)先月号で取り上げました橿原神宮の戦前の剣道大会の会場

先月号で取り上げました橿原神宮の戦前の剣道大会の会場、肇国会館と記しましたが、建国会館の誤りで訂正します。この建物は昭和3年の昭和天皇即位式典のため会場として京都御所に作られ、その後移築されたものですが、シャンデリアで飾られた立派な内装だっようです。剣道大会はここで行われましたが、そこまでは全く覚えがありません。この一帯のスポーツ施設は、当時は橿原道場と呼称されていたようで、世相が偲ばれます。

(3)第30回を迎えた旧制高専剣道大会

旧制の学校といっても分からない社会になりましたが、昭和20年代まであった旧制の高校、専門学校、大学予科などの剣道部出身者が集まって始めた剣道大会が30回を迎え、東京武道館で5月29日に開催されました。最年長88才、若手が75才です。3人の団体11チームが参加、母校の名のもとに戦うと、気力横溢、半日を楽しみました。生涯剣道の模範にはなっいることに自信を持っています。参加者からはこの辺で止めようかという声は一切出ませんでした。

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