九段坂・千鳥ヶ淵の桜は、4月に入って開きました。
待ち兼ねた花は、例年より見事、行き交う新入生、花見の人の流れに、フレッシュな景色が展開されました。
この講習会は、参加者の都合を考慮して年度の初日を避け、4月初めの週末に東西同時に開催されます。本年は2、3日の両日、東は場所を新たにしての夢の島公園のBumB東京スポーツ文化館、西は例年どおり、神戸市立中央体育館で開催されました。
各剣連や団体から派遣された受講生は東・68名、西・54名、それぞれが各地での講習会の講師として、全国の剣道のレベルアップを支えて戴く方々です。参加資格は、年齢46歳以上、教士七段以上ですが、東には31名、西では25名の八段受有者が参加されたことは、剣連の熱意の反映と感じました。
講習科目は、例年とおりですが、本年は「指導法」の充実を図り、2日目をこれに当てました。ここでは技術のみでなく、指導の理念から説き起すよう配慮しました。
詳細は、本誌3頁の松永普及委員長の連載記事をご覧ください。新たな講習の体系で、全国の剣道講習の充実と活性化を図ることを方針としている、本年度の事業計画の展開の第一弾として、講師、受講者が共に熱意を持って取り組み、今後の成果を期待させる第40回中央講習会でした。
日程の合理化を図った「第101回全日本剣道演武大会」も近付きました。剣道演武の組み合わせも決まり、本誌11頁から紹介されています。
主催者として参加者の動向は気になる所で、まず演武大会について見ますと、申込者総数は3,140名で前年より微減、平成4年に3,000名を超え、最大3,500名の間で行き来していますので、変動の波の中の動きと見ます。
5月2日に繰り上がり、連休中の平日に行われることになった居合道、杖道も剣道と同じ傾向でした。
内容的に変化が見られたのは、教士八段の参加者の増加です。組み合わせでは、前年より14組増加しました。これは仕事を持つ方の出場が増えたと見ます。範士の立ち会いは減少。九段の立ち会いはありません。
八段剣士の試合の増加は、大会内容の充実に繋がり、最終日が休日であることと相まって、増加が期待される観戦者をも満足して貰える大会になることを念願します。
一連の審査を受ける方々にも、変化が見られました。
これまで、平日に行われていた京都の「剣道六段審査」が、4月29日の休日になったことにより、受審者数は978名と、昨年を200名ほど上回る増加を示し、連休後の名古屋の審査会が微減だったのと対象的でした。
「剣道七段審査」は、5月3日から4月30日に変わりましたが、受審者数は横這いで、名古屋の七段審査は100名増えて1,000人を超え、京都審査と並びました。
前年と同じ、5月2日に行われる「剣道八段審査」挑戦者は増加を続け、1,300人になりました。
参加人員などの動きを見ましたが、従来5月3日に「演武大会」第1日、大阪での「全日本都道府県対抗剣道優勝大会」、「剣道七段審査会」と3つ重要な行事が重なっていたのが、今年は別々に行われるようになったことは、大会審判員、審査員、受審者、運営に当たる係員、観戦者など多くの人に好都合になることを、主催者として重視しています。
逆の影響を受ける方もおられるかもしれませんが、全体として行事がスムーズに進み、盛り上がることを確信します。
春を彩る少年大会が、今年も水戸で開花しました。3月27日の茨城県武道館は、全国各地から集まった400に近いチームの小学生剣士で文字通り立錐の余地のない状況でした。
大会を主催する水戸東武館は明治7年の創建。130年の歴史を持つ道場ですが、戦災による焼失など苦難の道を歩みながら戦後再開、当時の館長小沢 武範士の努力により、少年錬成を図るための大会を開催、昭和34年には全国規模の大会へと発展しました。その後、毎年盛大に実施されて本年第46回大会を迎えました。
例年より遅れた偕楽園の梅花が、満開と咲き誇る時に、北は北海道、西は九州から指導者、家族とともに馳せ参ずる少年剣士の群れは、水戸市の大きな年中行事となった賑わいを見せました。
一方、西の方・松江市総合体育館では、4月3日、JR西日本主催第17回の少年剣道錬成大会が開かれ、西日本の150チームの少年剣士を集めて開催されました。こちらの詳細は、31頁に別掲の加賀谷副会長の観戦記をご覧ください。
これらの大会の主催者にお礼申し上げるとともに、少年剣士たちが健全な社会人として育ってくれる事を心から願います。
剣道人口の動向を知る上に参考になる、平成16年度の全国初段取得者の数は、45,891名、前年を1,300名余り下回る微減となりました。
10年前に5万人を割り、一進一退を続けてきましたが、おおむね10年前の水準というところです。
都道府県別では半数の県が減少していますが、14の都道府県で増加を示しているのが目に付きます。
初段審査の在り方の剣連による相違もあり、統計的には確度が高いとは言えませんが、大まかな指標にはなりましょう。また、段位取得者の数が増える事だけを目指すのはいかがかと思いますが、剣道人口が増えれば取得者も増える事は確かで、目標としてよい数だとは思います。
二段以上は増加傾向にあります。また、男女別に大きな変化は見られない中、女子の三、四段の取得者の増加傾向が目に付きます。
新年度で取り上げた、全剣連後援の各剣連での講習計画で、審判法への講師派遣の要望が多く、各方面での試合審判への関心が高まっています。全剣連はかねて取り上げてきた講師要員研修計画に基づいて4月1日付けで、25名の方に剣道試合審判認定証を差し上げました。(22頁に名簿)
一方、新年度に入って早速の4月9、10日の両日、勝浦の武道館研修センターで、第11回研修会を開催。全国から教士八段24名が参加、熱心に受講戴きました。
本年度から行われる前記講習会の要項が、3月の理事会、評議員会で承認され、決定を見ました。
受講資格は年齢45歳以上、剣道錬士七段以上受有者で、中級取得後4年以上経過した者です。この資格は、各地の講習会で、指導法・審判法・日本剣道形の実技、理論関係の学科を指導できる指導者を養成することを目的としています。
講習は本年度は2回、9月30日より勝浦市、来年3月10日より大阪市で行われ、講習期間は3日です。短い期間で高い内容の講習を行うため、参加者には事前課題学習と課題についての論文提出を求められます。受講料は中級より高く、24,000円(シルバー割引あり)です。
本講習会に合格し、上級指導者の認定を受けた者には、教士受審に当たって、筆記試験の免除などの特典があります。
また、7科目のうち3科目以上の不合格科目がある場合は不合格となり、中級更新の終了扱いになります。2科目以内の不合格の場合は2年以内の上級講習会でその科目を受け直すことができます。なかなか難しい講習になるかと思いますが、権威ある内容にするべく、関係者は努力しています。
なお、初級講習の受講者の負担を軽減するために、受講料を新年度より18,000円に値下げします。(シルバー割引あり)
國松議長のもとで、かねて検討を進めていた「剣道指導の心構え」は、各方面の意見も徴し、最終取りまとめの段階に入っています。
春の教士学科試験は、4月9日に東京、神戸、福岡の3カ所で実施されました。東京では、調布市のNTT中央研修センタの3つの教室で、163名が筆記試験に取り組みました。
当日は好天気の上、構内の桜は満開、グラウンド方面は桜を見る人のため開放され、多くの家族連れで賑わっていました。
受審の方々も終了後に花を楽しめる、思い出の審査会になったことでしょう。