6月末から7月にかけては全剣連は2年に一度の役員改選期でした。これに関連して気を使うことも起こるため、「まど」の中身にも影響が出て、ご覧のような事務的内容が多い不作の月になりました。梅雨の中、豪雨に苦しまれた地方もありましょう。間もなく迎える暑さを控え、皆さんのご安泰を祈念します。
改選期を迎えた全剣連役員以下の選任は、前月号のこの欄で紹介した手順に従い、6月22日の評議員会でまず役員の選任が行われ、続いて7月5日の新役員による理事会において、会長以下の役付きの選任が行われ、結果は現体制の踏襲になりました。関連人事を含めた顔触れは別記事をご覧下さい。
ここで全剣連の役員などが、どのように決まるのか、お知らせしておきます。まず理事・監事は「寄附行為」に基づき評議員会で選任されます。ここに提案される理事候補の案はどうしてできるのか、このところのやり方を紹介します。理事の定員は30名ですが、そのうちの半数は都道府県剣連からの候補が推薦される慣例になっています。その推薦者は、ブロック内の持ち回りで出てきますので、毎期多くの方が入れ替わります。今回の推薦で再任となる候補は、北海道・東京など4名だけでした。この他学校関係・実業団・警察関係から4名の推薦を受けることになっており、残るところの11名だけがいわゆる自由枠になります。会長、副会長などもこの枠内で収めることになります。
会長など主要人事のありかたは、改選期を前にして執行部の中心である常任理事会で相談されます。ここで方向が一致すれば、会長候補者が自由枠の役員候補の案を作成します。今回は現体制の継続で行って欲しいということになりましたので、私が関係者の意見も徴しつつ、監事候補を加えた案を纏め、評議員会の席に提示し円満に選任が行われました。
近年の慣例になっているこの方法は前執行部の良識ある意見交換を前提にしており、問題は有り得ますが、ここ何回かはこのような手順でスムーズに役員の選任が行われてきています。しかし推薦枠などは見直しが必要な時期が来ることと思われます。
こういった手順で決まった新役員による理事会が7月5日に開催されました。ここでの互選によってまず会長が決まり、以下新会長が議長になって、副会長・専務理事・常任理事が選任され、新しい執行部として発足することになりました。これまでの三役のうち、國松孝次副会長はご自身の仕事の都合で退任されましたが、12名の常任理事のうち7名が、他の三役とともに留任され、新執行部は前期を踏襲したものになっています。
常任理事は70歳以下の方で構成するのを原則としております。今回は長年常任理事としてご尽力戴いた松永政美さんが後進に道を譲る形で退かれ、審議員の立場で参画して戴くことになりました。さて、常任理事は全剣連での地位を表すものでなく、全剣連の業務に深く参入してお骨折りを願う方として委嘱されるものです。一般理事の方も担当役員として、専門領域のご活動などをやって戴くことがあるのは当然です。
さて、私は前期の役員による事業の実績は、これまでの期に比べて充実したものがあったと感じています。違った見方もあるかもしれません。しかし、ご承知のように全剣連の役員は無報酬のボランティアとしてやっており、その条件による活動の前期の実績は高く評価して良いものと感じます。
この観点から、一部に新風を入れましたが、執行部の主力は踏襲されました。今回の顔触れにより事業の展開を図り、前期に勝る業績を納めて行けたらと念願しています。同時に今回退任された役員の方々の在任中のご尽力に対し、深甚の謝意を表するものです。
さて1名が欠員だった監事は、新たに3名の方に就任戴きました。このうち地方剣連の視点でご尽力戴いた山梨県栗原雅智剣連会長に代わり、前静岡剣連会長の佐塚重義氏をお願いし、この他各地の警察本部長も歴任され、警察界の重鎮でおられた島田尚武氏、実業界からキリンビール副社長の浅野直道氏を煩わしました。
全剣連の役職のうち顧問・相談役・審議員・参与は、「寄附行為」に基づき、会長が理事会・評議員会に諮って決めることになっています。まず7月5日の理事会に諮り内定し、つぎに評議員会には、会議を開く代わりに、個々の方に文書でお諮りし、手続きを経て決定しました。
審議員はこれまでの慣例で、80歳以上の方はご勇退戴くことになり、今回は3名の方が退かれました。新メンバーは松永氏のほか、兵庫県剣連副会長の宮﨑 昭氏に加わって戴きます。
顧問のうち国会議員の方は、まず剣連会長を辞められた3名の方が退かれ、新たに京都府剣連の会長になられた伊吹文明氏、議員連盟副会長で先年七段を取得された弘友和夫氏をお願いしております。
相談役はご意見拝聴し、相談に乗って戴ける方に逐次絞ってお願いし、谷前愛知県剣連会長に代わって、元愛知県剣連会長の杉山孝雄氏をお願いしました。
役員の担当については、5日の理事会で指名により、主任の方だけ決まりました。
普及―福本修二氏、審査―奥島快男氏、審判―田口栄治氏、強化―島野大洋氏、社会体育―岡村忠典氏、国際―竹内淳氏です。
以上の方はそれぞれの専門委員会の委員長を務めて戴きます。このうち強化委員会は今回新設されます。その他の担当役員・委員長などは、7月12日に行われる常任理事会で意見調整を行った上、決定されます。業務の実施の基本事項は、すでに決まっている本年度事業計画によりますので継続されますが、具体化にはいくつかの新味ある案が出ることを期待しています。
それらを総括した事業の進め方は、来月号で取り上げます。
さて人事や編成で時間をとられている時期ですが、既存の計画による諸行事の実施や、夏の大会・講習会・審査会などの準備は次々と進められ、役員・講師は忙殺されています。
6月中旬以後の主なものを拾って見ます。まず「杖道中央講習会」が6月18、19の両日、勝浦市の日本武道館研修センターで、全国から68名を集めて実施、この時に杖道委員会も開かれました。年2回東西で行われる「居合道地区講習会」のうち東日本の部は、6月25、26日に箱根町で、高段者を含めた348名の参加で開催、西の部は7月16、17日島根県大社町で実施、いずれも前日に「六・七段審査会」が組まれています。「社会体育指導員(初級)養成講習会」が7月1日から3日まで勝浦市で56名を対象に実施されました。
7月は夏の大会シーズンに入ります。3日には「全日本学生剣道選手権大会」が大阪府立体育館で、「教育系大学学生剣道大会」が講習を含め、16~18日にあります。
全剣連行事としては7月10日の山形県寒河江市での「東北・北海道対抗剣道大会」の機会に、東北・北海道の各剣連会長のご参集を求めて、全剣連幹部を交えての会同を行いました。
また本年度から始まった全剣連助成の講習事業は、この時期9剣連に対し、11名の講師を派遺し、充実した講習が進められました。
6月11日から13日まで北京市を訪ね、短い期間でしたが、現地の日本人会剣道グループや、現地の剣道グループと接触し、稽古も3回行う機会を得ました。
これは国際剣連会長の立場で出向き、韓国の剣連幹部とも一緒に行動し、現地の方々と接触する機会を持ちました。予想以上の数の中国人が、真面目に剣道に励んでいる様子に接し、感銘を受けました。
詳しくは国際コラムの欄で報告されておりますのでこれに譲りますが、今後発展・普及の可能性が大きく、しかもすでに緒に就いている中国剣道をどう伸ばし、どう対応していくか、方策を立てて進める必要性を痛感しました。