2005年9月号

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今月のまど

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夏の行事に剣道界フル稼働

酷暑の季節を迎えました。夏はまず青少年の錬成の時、学校関係の大会が目白押しです。教育系学部大会に始まり、少年剣道錬成大会、道場連盟主催の少年剣道錬成大会、戦前からの歴史ある高校生剣士激突の場となる玉竜旗剣道大会(福岡市)、インターハイと呼ばれる高校剣道大会(館山市)、定時制、通信制学校剣道大会、教職員剣道大会(阿蘇市)、中学校剣道大会(伊勢市)など学校関係大会の間に、家庭婦人剣道大会、日光大会などが織り込まれます。

夏は講習のシーズンでもあります。居合道地区講習会(島根大社町)、杖道地区講習会(岩手県滝沢村)があり、女子剣道講習会(千葉市)のほか、第30回目となる外国人剣道講習会が北本市解脱会研修センターで、各国の指導的人材を集めて行われます。

さらに夏には各剣連を含め審査会が集中します。全剣連の行う審査会としては、居合道、杖道の地区講習会に先だつ金曜日に六、七段審査があり、剣道の夏の審査では、盛岡市で六段、四国の高松市で月末に六、七段審査が行われます。

また今年のイベントとして、いよいよ8月31日午後、愛知万博会場内の万博ドームで、剣道フェスティバルが行われます。連日展開される催しの中、一般の来場者に剣道をアピールできましょうか。熱意を以て計画、準備に万全を期してきた関係者の努力と、これまでの剣道PRを超えた知恵は、必ずや成果を収めるものを確信します。ただ昔の二百十日に近い時期、天候が気掛かりですが運を天に任せるのみです。

新体制における事業展開について

先月お約束した役員改選後の業務分担による事業の進め方を取り上げます。事業展開の基本的事項と方針はすでに決まっている本年度の事業計画と収支予算に基づいて行われますので、具体的取り組みと新しい担当による展開について、7月に入って開催された新メンバーによる理事会、常任理事会などでの議事を踏まえて述べます。

大会運営では活性化を目指す

大会における試合は、剣技の進歩の重要な手段。その活性化のため運営の改善に絶えざる努力を払って行きます。この際審判員の技術向上は欠くべからざるものですが、道なお険しいものがあります。 試合方法についても考えていきたいと思います。ここで戦後の試合の在り方で気になっていたことを取り上げます。現在の試合が三本勝負を原則としているのは戦前と同様ですが、問題は試合時間の規制が導入され、これが三本勝負に優先することになったことです。ご承知のように5分経ったところで一本先取していれば勝ちが決まり、双方が一本も取っていない場合は、延長で一本勝負になります。

全日本選手権大会の場合など、ほとんどが一本勝負で決着しています。そこには三本勝負を謳いつつ、一本勝負で終わる点、選手の立場での不完全燃焼、観戦者も真の勝負が見られないなどの恨みが残るほか、残り時間を巡る好ましからざる駆け引きが生まれています。この種の弊害は、戦後の復興に当り、剣道がスポーツとしての再発足をせざるを得なかった歴史に起因するもので、剣道の大衆化の時代にすべてマイナスの点ばかりとは思いません。ただ選手のレベル、大会の性格と目的に応じ、弾力的に適用すべきでした。問題は規則運用がほとんど画一的に行われてきたところにあります。はじめから一本勝負とする試合はもっとあってよいし、レベルの高い試合では時間に拘らず行う三本勝負の試合があって然るべきと感じます。

そこで選ばれた高段の剣士が一回の試合に勝負を懸ける秋の東西対抗剣道大会は、真の三本勝負を行い、試合の醍醐味を発揮する最もふさわしい大会と思われます。今年の大会からこの方式により実施することを目論んでいます。

さて7月に行われた家庭婦人大会は、幸い休日に実施することができ、観戦者、観客も多く、試合も充実したものになりました。こうした条件も整えていくよう今後も努力して行きます。

普及活動の充実、講習事業の効率化を進める

講習会の効率化はここ何年も努力してきました。平日に講習に参加することが次第に困難になっている昨今の社会情勢に対応すべく、遅まきながら、極力週末2日に期間を抑える、また場合によっては金曜日の夜に集合して貰い、土曜日をフルに使うという運営改善を行ってきました。このような措置に伴い講習の時間を有効に使う、講習の効率化も大切です。科目としては指導法を重視し、受講者がさらに第一線の講習で伝達効率を高めることを目指します。

つぎに全剣連、地方を含めた講習の体制としては、本年度より講習計画は各剣連、団体がより主体的に立案し実行していく体制へと、軸足の重心を地方側に移して、全剣連は講師派遣と奨励金の交付により援助することにしてスタートしました。その実施はおおむね順調と見ていますが、さらに評価しつつ前進を図っていきます。

新しい若手の強化活動に着手

剣士強化活動は、前年度より新しい体制で男子、女子について進めており、一層の充実を図りますが、事業計画に掲げた通り本年度は新たな若手剣士育成の強化活動に取り組みます。現在の剣道界の風潮として心配されるのは、試合偏重の傾向です。試合における勝負の重要性は否定しませんが、行き過ぎると真の高度の剣技修錬を阻害することが心配されます。現在進めている強化訓練はどうしても世界大会を念頭に行うことになります。

そこで今回スタートする訓練は、試合などへの選手強化を離れて、地力があり将来大成する素質ある若手剣士を見出し養成しようとするものです。器用さや上手さを重視せず、いわば骨太剣士を育てようとする計画です。

具体的には18才から23、24才クラスを対象とし、各界の推薦による候補の中から50ないし60名の適格かつ意欲ある剣士を選び、ある期間に亙り養成するものです。現在選手選考に着手しており、11月に第1回の講習を行うべく準備を進めています。

女子剣士への講習を見直す

新しい講習方針に基づき、全剣連は一般を対象とする講習は各剣連に委ねていく方針です。この観点からすると、年2回東西で行っている女子講習会は見直しの対象になります。この講習会は昭和60年代に補助事業として始まった歴史があり、それ自体効果は上がっていると思いますが、全剣連が直接手を下すより、各剣連で実施し、必要なら全剣連が援助するものとしたいと思います。

初めての社会体育指導員認定の上級講習会の準備進む

平成7年より始まった社会体育指導員養成事業は、初級、中級の資格を得た人が、いよいよ最高位の上級の資格を取得すべく、挑戦する段階になりました。9月末に勝浦市武道館研修センターで開催される第1回の上級講習には受講希望者が殺到しましたかが、第1回の初級、中級資格取得者を中心に銓衡も終わり、60名の受講者が決まり、開催準備も進んでいます。

初級、中級資格の講習会も例年どおり実施しますが、上級講習を立派に行うことが、資格制度の完結させ、評価を固めるものであり、今年の最重点事業となります。 さて予定のスペースを費やしましたので、あとは次号に譲ります。

断 片

①奈良県五條市で全剣連初代木村会長の記念展

戦後の剣道復興に当られ、現在の剣道界の基礎を固められた初代会長木村篤太郎氏は奈良県南部の五條市のご出身ですが、法務大臣、防衛庁長官なども勤められた名士で、さらに生家は江戸時代の町家の豪邸ですが、文化財「まちや館」として5月にオープンされました。今回第二次大戦の終結60年記念「木村篤太郎と吉田 茂」の特別展が市立五条文化博物館において9月4日まで開かれている由、お孫さんの木村忠夫氏より連絡を戴きました。ご都合のつく方はご一覧願いたくお知らせします。

②外国人夏期剣道講習のサヨナラパーティー

7月末から行われた外国人サマーキャンプ、最終の8月2日の閉講式の日の夜は恒例のサヨナラパーティーが開かれます。54名の受講者、講師などによるリラックスした会ですが、宿泊の部屋ごとに、余興が披露されます。当意即妙の微笑ましい演技が続出、メンバー親睦の実を示しました。

③思い掛けない解散による衆議院選挙に、剣道関係議員のご健闘と当選を念じます。

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