2006年10月号

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今月のまど

梅雨期が長引いたせいか、アッという間に夏が過ぎていった感じのこの頃で、暦の流れに沿って秋を迎えました。実りの秋といわれるように、春から夏に蓄えた力が実を結んで発揮される大会も続きます。夏休みに行われた生徒、少年に代わっていよいよ大人の登場です。

暮れには3年ぶりの世界剣道選手権大会も台湾・台北で開かれます。柏崎での全日本東西対抗剣道大会、兵庫国体、天皇盃を目指す全日本剣道選手権大会も待たれます。日本剣道の充実を見せて貰う各大会に期待しましょう。

皇后盃授与にふさわしい内容の全日本女子剣道選手権大会

開催場所を名古屋から移して2年目、静岡県藤枝市で9月3日に開かれたこの大会は、昭和37年の大阪に始まる古い歴史を持ちます。今回の第45回大会は、女子選手権大会としてふさわしい充実感を持ち得た大会を迎えたと感じました。実りの秋の第一陣の行事として続く秋の陣が期待されます。

静岡県石川嘉延知事も来場観戦された一回戦から、せせこましい試合が見られず好勝負が続きました。試合では準優勝になった緒方有希(熊本、高校講師)が、2年前に沖縄から出て準優勝になった新里知佳野(神奈川、大学助手)と展開した20分の熱戦は印象に残るものでした。

優勝者始め上位は実力あるベテランが占めたこと、また各県の予選を勝ち抜いた5名の高校生も、目立つ活躍ができなかったこと、これらは一般レベルの上昇を反映していると見ることができましょう。

優勝、入賞者は、いずれも五段受有者であり、特に決勝戦は昨年と同じ顔触れの対戦となりました。結局村山千夏(埼玉、警察官)が緒方(熊本)を再度下して、連続皇后盃を獲得しました。13回目の出場での連覇、選手権者として最高年齢を更新しての優勝は偉業といえましょう。他の入賞者もいずれも20歳代後半の年齢のベテランでした。初出場組の大学生トリオ、澤部由香(栃木)、ベスト8に食い込んだ谷 芙美(茨城)、井尻麻祐子(神奈川)が目立ち、今後が期待されます。

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総体的に見て新鋭の進出が見られなかった大会ですが、実力派のベテランの成長が全体の水準を高めた大会だったといえましょう。 これには前年から回を重ねてきた強化訓練講習会が役割を果たしていると思います。世界剣道選手権大会を一区切りとして続けている強化訓練の受講者は、本年4月から20名に絞って来ましたが、今次選手権大会の各地予選を勝ち抜いて11名が出場しています。すぐれた剣士を選んで訓練を重ねてきていることから当然ともいえますが、強化訓練も効果を挙げていることが窺えます。

全国中学校剣道大会の実態を全剣連として視察

各地での地区大会を経て選抜された中学校が集う全国中学校剣道大会が、本年は徳島県鳴門市で開催されました。

新幹線新神戸駅からバスで淡路島を経て、渦潮で名高い鳴門海峡を渡り、鳴門市の会場での開会式に臨みました。試合前日8月17日夕刻に行われる開会式には、全国都道府県を代表する中学校の男女223校の剣士700名が参集し、会場を埋める応援の家族などの観客とともに、若々しい空気の中開会式が行われました。何年か後に選手たちは日本を背負う社会人になり、またこの中から剣道界を担う名剣士も出てくることでしょう。将来への夢を期待させる開会式でした。

大会の経過は12頁からの記事に譲りますが、本年は全剣連として中学校剣道に注目し、実態把握のために普及委員会委員が手分けして各地区大会の状況を視察したことをご報告します。取りあえずは各大会いずれも整然と実施されてたとの報告が出ていますが、今後全剣連も中学校剣道に関心を持ち、振興策について検討していきます。 

男子女子の強化訓練が進み世界剣道選手権大会選手を選出

平成16年度に取り組み、男子12回、女子8回と回を重ねてきた強化訓練は、本年度に入って講習生を20名に絞り、暮れの世界大会に戦力のピークを持って行くための訓練を重ねてきました。最後の訓練をそれぞれ8月に終え、この間の実績を踏まえて選考会議を8月23日に、大津市滋賀県武道館会議室において、全剣連関係幹部、監督による会議を開催し、男女それぞれ10名の選手を決定し、国際剣連にエントリーしました。名簿は3頁でご覧ください。男子は全員警察関係者、女子は過半数が教員であるのが目立ちます。それぞれ残る期間に選手団としての団結を固め、最高の状態で大会に臨み、日本剣道の真価を世界に示して頂くことを期待します。

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なお世界大会を終えた来年には、新しい段階での強化訓練の計画を練って、受講生を選びスタートする計画です。
一方すでに2年目の後半に入っている若手を対象とする選抜特別訓練講習会(通称骨太剣士養成講習)は計画どおり進められています。去る8月24日から27日まで大津市の滋賀県立武道館で本年度第3回の講習会を実施、47名が参加して厳しい訓練を行いました。講習生の中からは、インターハイの一位、二位を占めるなど活躍をする選手も出ており、活気に満ちた訓練が進んでいます。

第13回世界剣道選手権大会への出場申込み終わる

大会出場への申し込みは8月29日に締め切られました。集計結果によると、団体戦は男子39、女子21カ国および地域、個人戦は男子166名、女子94名となっています。欧米より遠い台北市での開催にもかかわらず、団体戦参加国は増加、個人戦は、一国の参加人員を5名から4名に制限したこともあって微減になりましたが、盛大な大会になることが期待されます。

成田市で世界剣道選手権大会審判員の研修を実施

前回のグラスゴー大会に始まった大会審判員の研修が、9月9、10の両日、成田市体育館で開催されました。日本人審判員12名を含む36名が参集、熱心な研修を行いました。

断片

松尾芭蕉の墓所もある史跡「義仲寺」

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源平時代に名を残した木曽義仲は、平家軍を破り京を制しましたが、対立した同じ源氏の頼朝の軍と戦い、寿永3年1月(1184年)近江・粟津ケ原で戦死しました。その地に近い大津市馬場一丁目の旧道に沿って義仲の墓のある義仲寺(ぎちゅうじ)があります。この寺が別の面で有名なのは、俳人松尾芭蕉の墓があることです。芭蕉は旅の途中しばしばこの寺に滞在したのみならず、元祿7年大阪で亡くなった折、遺言によりここに葬られました。いくつもの句碑も見られます。

また義仲に従った武勇にすぐれた美女巴御前の巴地蔵堂、巴塚もあります。義仲寺は滋賀県立武道館のすぐ近く駅に向かう旧東海道に位置し、史跡の多い近江の中の隠れた名所です。武道館の行事の帰りに立ち寄られる価値があります。

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