2012年12月号

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もくじ

  • 剣筆 私と剣道半世紀/山本 泰人
  • 全剣連設立60周年記念
     第60回全日本剣道選手権大会/井上 茂明
  • まど・305回/武安 義光
  • 平成25年度行事予定(内定分)
  • 平成24年度相談役会・臨時理事会
  • 平成24年度剣道功労賞・平成24年度剣道有功賞受賞者
  • 平成24度少年剣道教育奨励賞受賞団体
  • 全剣連設立60周年記念
     第39回全日本杖道大会/古川 瞬也
  • 全剣連設立60周年記念
     第47回全日本居合道大会/迫野 康雄
  • 平成24年度全国警察剣道大会(第59回)
  • 第60回全日本学生剣道優勝大会/藤原 崇郎
  • 第1回女子強化訓練講習会・第10回剣道講師要員(指導法)研修会
  • 全剣連後援剣道講習会・全剣連講師派遣事業・全国剣道指導者研修会
  • 全剣連社会体育指導員(第88回初級、第56回初級更新、第32回中級更新)養成講習会
  • 剣道八段審査会受付時間について
  • 第58回東西対抗を終えて/矢野 節男
  • 国体を終えて/松葉 忠文
  • 随筆 私と女子剣道/嶽下 秀子

今月のまど

爽やかな秋も束の間、早くも晩秋・紅葉の季節を迎えました。剣道界は「文化の日」の全日本剣道選手権大会が行事の山となり、その余韻を残しつつ審査会・講習会・研修会に重点が移ります。

また執行部は上半期の事業の評価・反省による改善策を模索して、来年度の事業計画を練る時期に入ります。設立60周年の、いわゆる冠大会は終わり、来年2月の祝賀行事を締めくくりとする諸事業に取り組みます。各剣連も同じ動きにありましょう。

世界情勢の中では、米国を除き、近隣の中・韓などは首脳の改選が相次ぎ、日本と密接な国であるだけに、その帰趨に目を離せません。その中で日本の政界は、不安定な動きを続けていますが、明るい未来を目指し、さすがは日本と見られるよう立ち直って欲しいものです。

古豪が力を発揮、若手の台頭を許さなかった選手権大会

60周年を記念した第60回の大会は、1回戦から錬れた試合が続き、終始充実感をもたらす良い大会であったことを主催者として喜びとしております。60周年の冠をつけた大会として、相応しい内容であったと感じました。

前人未踏の3連覇を狙う高鍋 進(神奈川県)は、優れた内容の試合ぶりで準決勝戦まで進み、これも絶好調の進撃を続けてきた木和田 大起(大阪府)と対戦、静かな激戦の末、木和田がコテで高鍋を下し3連覇を阻みました。続く決勝戦で、木和田は3度目の優勝を狙う内村 良一(東京都)と厳しい試合を展開、出ばなのコテを決めて初優勝、5年ぶりに大阪に天皇盃を持ち帰りました。3位を勝ち得た網代 忠勝(兵庫県)も健闘、関西勢の意地を示しました。

前年に引き続き、入賞者はいずれも30歳台の古豪で、若手の台頭を許さぬ充実した力を発揮しました。その他のベストエイトに進出した者も、野田 篤史(愛知県・25歳)を除いていずれも30歳台、期待した若手の台頭は見られませんでした。このことは一面で期待外れではありましたが、世界剣道選手権大会での活躍、そのための強化訓練での錬成などが、ベテランの活躍をもたらした原因の1つになっていたと見ます。

ただ今年の大会の内容が見劣りするものではなかったにせよ、輝く若手剣士の姿が見られなかったのは残念で、その成長を期待すること切なるものがあります。

さて一般の関心を示す、NHKの放送の視聴率は、2%台に下がったとのことですが、いろいろの条件が影響しましょう。日本武道館に来られた観衆は多数で、前年並の満員でした。

記念大会が充実した内容で終了し、ご尽力頂いた関係の方々にお礼申し上げます。

第60回全日本剣道選手権大会開会式

第60回全日本剣道選手権大会開会式

新定款による臨時理事会を開催

本年度第2回の理事会は、11月2日(金)ホテルグランドパレスにおいて臨時理事会として行われました。人事案件のあと、平成25年度行事日程表を内定。続いて新定款の制定に伴い、制定ならびに改定が必要な規則案が提案され、審議の後に議決されました。これは「会計規則」、「綱紀委員会規則」、「剣道称号・段級位規則および同細則」が新定款への移行に伴って必要とされるもので、いずれも4月1日に遡って施行されます。

続いて本年度の顕彰が決定されましたが、次項ならびに記事でご承知ください。60周年記念事業、上半期の収支状況など報告事項を終えて終了しました。

新定款によれば事業の実行については、理事会で処理されますので、従来行われていた、秋の評議員会は開催しません。ただ人事案件は評議員に書類で審議を願った上で決定されます。これらは従来と異なった事務処理になります。

剣道功労賞3氏ほか全剣連顕彰者を決定

平成7年に始められた、全剣連顕彰の受賞者が選考委員会の推薦を経て理事会で決定し、11月3日付で贈られました。

まず「剣道功労賞」は今井 三郎・鬼倉 國次・永松 陟の3氏に贈られますが、当日、日本武道館に出向かれたのは永松さんだけで、鬼倉さんは代理の方が受賞されました。このほか全剣連が推薦した、「剣道有功賞」受賞者お二人への贈賞も併せて行われました。詳細は別記事を御覧ください。

総勢60名の剣道有功賞受賞者にはそれぞれ推薦剣連から伝達されます。また同日付で、少年剣道教育奨励賞受賞の300団体も決まり、都道府県剣連を通じて贈呈されます。

24年度上半期の収支概ね順調

9月までの本年度上半期を終えて、収支の状況がまとまりました。事業活動収入は3億5,500円余で前年比微増です。これに対する事業活動支出は3億9,800円で、前年同期比で5.6%の増加ですが、これは5月に行われた世界剣道選手権大会のための支出増加などによるもので、全般的に予算の範囲内です。

六段以上の受審者ならびに称号を含めた取得者については、前年より増加の傾向があり、収入の増加に貢献しています。昨年は受審資格を中学2年より満13歳に切り下げたことの影響で、初段取得者が増加しましたが、本年はその反動で減少しています。二段登録者数は増加していますが、下期の動向を見たいと思います。

総括しますと、堅調な収入の動向、事業の活発な展開と、支出節約の実行といった動きが集約され、財務的には概ね順調に推移していることをご報告しておきます。

剣道人バッジなどの商標権が確定

全剣連が業務上使用する、略号・標識類は法規的には「商標」ということになり、登録することにより商標権を得て権利が保護されます。全剣連はすでに「財団法人全日本剣道連盟」、「全剣連」、「AJKF」、「AJK」、「剣道人記章」、「全剣連記章」などについて用途を掲げた6区分につき、特許庁に登録申請をしました。6商標のうち4商標については認められ、すでに23年8月に登録されています。ただし記章2件については類似のものがすでに登録されているとのことで拒否の通知がありました。

この拒否査定を不服として、全剣連は「拒否査定不服審判」の申し立てを行って争いましたが、6カ月を経て、「原査定を取り消す」との逆転審決を得ることができ、登録されることになりました。このような例は珍しいとのことですが、案件の処理に終始当たられた、総務委員会 専門委員 片岡 義夫弁護士のお骨折りに、ここで深甚の謝意を表させて頂きます。

権利の確立したおなじみの「剣道人記章」と「全剣連記章」

権利の確立したおなじみの「剣道人記章」と「全剣連記章」

各剣連でも固有の標識をお持ちのところが多いと思いますが、その権利の保護について配慮されることをお勧めします。

60周年記念事業の概要

標記について理事会に概要が報告されました。簡単にお知らせしておきます。来年2月11日(祝)に来賓をお招きして記念式典および祝賀会を、ホテルグランドパレスで行います。特別表彰・感謝状贈呈などを行い、関係者をお招きしての祝賀の宴を開きます。

『60周年記念誌』・『剣窓』特別号・5年ごとの『剣道人高段者名簿』などの出版事業、記念グッズの販売(全剣連タオル・記念手ぬぐいなど実施中)、また通常の業務で特に取上げるものとして、ホームページのリニューアル・教育関係DVDの作成などがあります。いずれも準備を進めつつあります。

断 片

① 秋の剣道高段者審査会に8,000名が挑戦

11月に名古屋市枇杷島スポーツセンター・日本武道館・東京武道館で開催される、剣道八・七・六段審査会には、毎年多数の方が挑戦されます。今年も昨年より微増で、11月26日(月)、日本武道館での六段審査に2,100名を最高に、合計8,000名が挑戦されます。多数の方が実力を発揮して成功されることを祈念します。

② 審査会における裏方の努力

審査会を成功させるには、審査員により公正・適格な判定が下されることが最も大事で、主催者としては、審査員の選定・配置・研修など配慮を行い、審査員各位のご努力と相まって効果を上げていますが、審査の実施面でも経験を活用しつつ努力しています。

このうち近年格段に進歩したのは、コンピュータの活用による事務処理です。審査実施に当たっての、組み合わせを始めとした事務については、全剣連事務局において、システム構築に多大の実績を上げて頂いた方がおられます。この方は新日本製鉄(株)勤務の後、全剣連事務局に来られた伊藤 博さんです。平成7年から11年間勤務され、システムの構築・運用に当たられました。伊藤さんにはこの度の顕彰事業において剣道有功賞を差し上げています。

この審査業務の実態・変遷については1度まとめて紹介する機会を作りたいと思います。

会 長 武安 義光

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