2013年3月号

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もくじ

  • 剣筆 武士道と団体戦/鈴木 佑司
  • 平成24年度段位審査会一覧表
  • まど・308回/武安 義光
  • 全日本剣道連盟設立60周年記念式典ならびに記念顕彰贈呈式
  • 審査会特集
    □平成25年4・5月大阪市および京都市における行事日程表
    □称号・段位審査会要項から
    □剣道・居合道・杖道称号「教士」筆記試験実施要領について
    □杖道七・六段審査会合格者/冨永 彰三
  • 第11回剣道文化講演会抄録パネルディスカッション『剣道の国際的普及について』/緒方 喜治、アレキサンダー・ベネット、阿部 哲史、ジョナサン・曜・レヴィン小倉、リサ・ヴァン・ラーケン
  • 平成25年度 第17回 写真コンテスト作品募集
  • 平成24年度専務理事・理事長会議
  • 杖道地区講習会
  • 全剣連後援剣道講習会・全剣連講師派遣事業・全国剣道指導者研修会
  • 社会体育指導員養成講習会(第89回初級、第57・58回初級更、第33・34回中級更新)
  • 随筆 随想 二天道楽/一川 英機
  • 国際関係コラム・122回

今月のまど

暦の上では春を迎えました。日本海側では荒れた気象が続いています。しかし東京西郊の我が家では梅も綻びました。春も間近です。各剣道団体は新年度の活動や、各学校では新人の受入れなどの準備に忙しい時期です。政治の舞台では、安倍晋三内閣が、新施策の展開に大わらわの状況が報道を賑わわせています。国際関係では、近隣諸国との間のトラブルが続発しています。政府のしっかりした対応が望まれます。

内外の問題の多い今こそ、お互い各剣道団体は新しい年度に向かい剣道の発展のため、力強い前進の歩みを強めたいものです。全剣連も設立60周年事業の多くを終えましたが、締めくくりの記念式典と祝賀会の記事を取り上げます。

設立60周年記念式典と祝賀会を開催

この行事は2月11日(祝)に九段下のホテルグランドパレスにおいて、ご来賓・多くの関係の方々のご出席を頂き行いました。

式典に当り私の述べた挨拶の概要は、後半に取り上げます。ご来賓としてまず祝辞を頂戴した衆議院議長・伊吹 文明さんは京都府剣連会長も務めて頂いておりますが、文部科学大臣在任中の7年前、教育基本法の改正を手掛け、本年度より始まった中学校体育の武道必修化を実現された方でもあります。

伊吹さんは「当時考えたことは、『技』を教えるより、その技を通じて皆様が大切にしてこられた心根のようなもの、「剣道」という「道」のようなものを教えて頂きたいと思いました。本当に教えて頂くものが残っているのは『剣道』の中にあると思います。今日本で心配するのは『日本人の心根』というものが少しずつ衰えていることです。技も大切ですが技を通じての心根というものを、次の世代を担う日本人の身につけて頂くようご努力を願いたいと思います」と述べられました。

続いて文部科学省大臣官房審議官・山脇 良雄氏から下村 博文文部科学大臣の祝辞を頂戴、日本武道館館長・松永 光氏は祝辞で、剣道の普及・振興のため全剣連の発展をお祈りすると述べられました。

この後この10年間に選手として、また業務において優れた業績をあげた個人・グループに対する表彰、業務面でお世話になった団体への感謝状が贈呈されました。

この後、250名のお客のご来場の下に祝賀の宴を設け、設立60周年を祝いました。

平成25年度行事日程固まる

2月1日(金)に全国各剣連の専務理事・理事長会議を開催、来年度の事業日程を打ち合わせ、持ち回りの行事の場所・日程を次のように決定しました。

主催大会では全日本東西対抗剣道大会は、9月15日(日)に甲府市で、全日本杖道大会は、10月6日(日)に札幌市で、全日本居合道大会は10月12日(土)に別府市で開催され、主管大会の国民体育大会は9月29日(日)より東京武道館で行われます。

共催大会では、全国高等学校剣道大会が、8月6日(火)より佐賀市で、全国教職員剣道大会が、8月12日(月)に和歌山市で、全国中学校剣道大会が、8月17日(土)より浜松市で開催されます。

夏の剣道七・六段審査会は、8月17日(土)・18日(日)に山形市を予定、西日本は香川県高松市で8月24日(土)・25日(日)に行われます。このほか、札幌市で8月25日(日)に剣道六段審査が組まれます。

居合道七・六段審査は6月14日(金)に札幌市で、7月12日(金)に山口県周南市で、杖道では8月30日(金)に那覇市で七・六段審査が組まれています。両者の審査会には地区講習会が連動します。

さて講習会は例年に準じた方式ですが、若手を対象とした、選抜特別訓練講習会、いわゆる骨太剣士養成の講習会は、第5期に入り、8月29日(木)の大津市から新しい養成計画に入ります。

社会体育指導員養成講習会は例年に準じて、初級6回、以下中級・上級が組まれていますが、学生を対象にした講習会が別に2回組まれています。平成7年に開始した初級の資格取得者は7,000名を超えることになりましょう。

国際関係では、スポーツ・アコードにおける、第2回の格闘技大会が、本年10月ロシア・サンクトペテルブルグで行われ、全剣連も国際剣連の立場で参加します。このための審判講習会を組んでいるほか、例年の外国人夏期講習会も開催されます。

全剣連設立60周年記念式典式辞(概要)

このたび全剣連設立60周年式典を開催致しましたところ、ご来賓、全国各地からの関係剣連の代表の方々、平素剣道界の活動を支えて頂いている多数の方々のご来臨を頂き、盛大に開催できますことをまず御礼申し上げます。

全剣連は戦後の日本の再出発になりました講和条約の発効により、日本が主権を回復した、昭和27年に発足し、剣道界の復興に努力を重ね、ここに満60年を迎えることができました。

剣道は戦前、着実な前進を遂げてきましたが、戦争の時期に入り、さらに敗戦とこれに続く連合国軍による占領政策により、軍国主義を支えたものとして、厳しい弾圧を受けることになりました。

しかしこの間も各地での剣道の歩みは絶えることなく、独立回復を待ちわびた剣道人の熱意が結集され、各地の剣連に続き昭和27年10月に全剣連が結成されました。当時の厳しい社会情勢の中、剣道再建に努力された戦前からの剣道人の熱意は着々と実を結び、復興と発展を実現して頂きました。私はここに皆様方とともに、この間の先人のご努力に対し、改めて感謝の意を捧げたいと存じます。

さてここで全剣連発足以来の、60年を簡単に振り返ります。この際20年ごとに区切って行いたいと思います。まず発足後、財団法人格を取得する昭和47年までが第1期です。ここは伝統ある剣道の復活に努力し、それが達成された時期でした。

主な大会の創設、大学・高校以下の学校における剣道活動の復活、称号・段位制度の復活と審査の実施、試合の進め方・審判方法の決定、剣道組織や財政の確立などへの努力が進められました。

戦中の軍事訓練に結びつけられていた剣道に対する冷たい国民の視線の中、関係者はスポーツとして生まれ変わった剣道の復興に努力して成果を収めました。女子剣道が生れ、盛んになったほか一部に限られていた海外での普及も進み、国際剣道連盟が発足、世界剣道選手権大会が開催されるようになりました。剣道が復興するとともに、剣道の良さも理解されて、国民の受け入れも好転し、財団法人格も取得できた第1期です。

続く20年は、復興を成し遂げた剣道界が規模の拡大とともに、新たな充実と、停滞が入り交じった第2期でした。試合重視による「当てっこ剣道」全盛の風潮への反省から、剣道の指導理念を確立しようとする気運が高まり『剣道の理念』が制定されました。繁栄を謳歌した日本経済の中、質的には停滞というべき第2期でした。

平成の時代に入り、剣道の質を高めるための見直しを行い、新たな発展の道を探ろうとする動きが起こりました。この時代が、ここ20年の第3期になります。まず試合運営の基本になる試合・審判規則の抜本的改正を、平成7年に行いました。

続いて称号・段位制度の近代化に取り組み、平成12年から実施しました。また普及・教育の面では平成7年より社会体育指導員養成制度を発足させました。

このように第3期の前半の10年に大きな制度の近代化が行われ、後期の10年はそれらが成果を生みつつある時代といえます。

この時期の平成15年、剣道理念に続くものとして『剣道指導の心構え』の審議に着手し、同19年3月に成案を得ました。

そしてこの10年は指導・教育を重点として事業を進めてきました。地方組織が人材養成を進めることを期待し、全剣連は幹部要員・講師の養成に当り、また地方への講師派遣など地方の活動を援助・応援を行うよう体制を改めました。審判・指導法についての講師要員の養成も続けています。

一方剣士の強化活動も怠りません。世界大会の東京での開催も決まりましたが、男子・女子の選手強化のほか、骨太剣士養成という強化も行っています。

教育基本法の改定により中学校体育に武道が必修科目に改められ、本年より実施になりました。全剣連はその準備として、資料作成・教員に対する研修の実施などを進めました。

公益法人制度の改革が行われましたが、全剣連は一般財団法人への切り替えを行いました。

この10年を総括すれば、前期に撒いた種の質的な成長期・事業の充実期といってよいと思います。以上のほか、情報・広報・事務関係などでも前進が見られた充実した10年であったといえます。

今後の課題としては、緒に就いた中学教育の充実、その活動を充実させることがあり、教育・普及の充実など、全剣連の事業の目標である、剣道を通じての人造りに貢献していきたいと思います。剣道の恩恵を世界の人々に及ぼす、国際普及への貢献も目指します。 多くの人の協力により、全剣連の仕事が進みました。最後にこれら関係者・功績者に謝意を表します。

記念式典で式辞を述べる筆者

会 長 武安 義光

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