2013年4月号

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もくじ

  • 剣筆 剣道とともに/神原 康次
  • スポーツ指導における暴力根絶への対応について スポーツ指導者のみなさんへ/日本体育協会会長 張 富士夫
  • まど・309回/武安 義光
  • 平成25年度全剣連事業計画
  • 平成24年度第2回理事会・臨時評議員会
  • 平成25年度全剣連行事日程表
  • 平成25年度全剣連収支予算書
  • 平成24年度剣道研究会
  • 第11回全日本選抜剣道八段優勝大会組み合わせ/真砂 威
  • 第四期第6回剣道選抜特別訓練講習会
  • 武道振興大会の開催
  • 平成24年度第3回女子強化訓練講習会・平成24年度第4回男子強化訓練講習会
  • 平成24年度全国剣道指導者研修会・平成24年度講師派遣事業
  • 社会体育(第17回上級・第7回上級更新)講習会
  • 剣道実技審査(受審者・合格者数)地区別一覧の掲載について/真砂 威
  • FIKヨーロッパゾーン剣道審判講習会および審査会/水田 重則
  • 第16回世界剣道選手権大会ロゴマークの募集・国際関係コラム・123回
  • 随筆 春風会武道講演会 杖道範士が語る「伝統文化・杖道」/北方 達一朗
  • 剣道少年の体験・実践発表会
  • 全剣連審議会・在日米軍士官の剣道体験

今月のまど

長く感じられた冬も去り、春を迎えました。自然界と同じくお互い新しい活動への意欲が沸いてくるこの頃です。多くの組織では、新人を迎える準備に忙しくしておられましょう。一方この時期に組織を去り、仕事の重荷から離れる方もおられましょう。それらの方々は長年親しんだ剣道に改めて取り組み、生涯剣道の存在が生活の張合いを支えてくれるはずです。ご多幸を念じます。

執筆中に3月11日を迎えました。あの大震災から2年、なお災害の犠牲になり、あるいは生活の基盤のすべてを失われた方々の苦しみに同情の念を捧げ、被害回復の速やかなることを祈るばかりです。

一方、3月といえば第2次大戦終結の年、昭和20年3月10日の陸軍記念日を目指して行われた、東京下町に対する大空襲で東京の3分の1が灰燼に帰し、10万人ともいわれる市民の犠牲者を出した日を思い出さざるを得ません。既に風化した出来事かもしれませんが、戦中派の1人として併せて犠牲者の冥福を祈ります。

さて全剣連は先月号でお知らせした、設立60周年の式典も終え、記念行事も山を越えて、例年通りの新年度を迎える準備を進める時期になりました。「まど」もこの体制に戻ります。

政治面では、安倍晋三内閣による、補正予算が成立し、遅れている25年度の本予算への国会審議が進んでいますが、世界的な景気回復のムードがあり、これに呼応して日本の経済回復の動きが目立ち、株価の回復・外貨への円安の進展が顕著で、これが経済界の投資や消費の回復につながることが期待されます。

ともかく何年か続いた経済活動の沈滞から抜け出そうとする意気込みが浸透し、民主党政治の時代の空気を一掃して、国力の回復に向かい、実績を挙げてもらいたいものです。

25年度事業計画・収支予算策定される

既に昨年の内から新年度の事業計画について、各専門委員会での立案作業が進められています。来年度行事については決定されていることをお知らせしましたが、専門委員会・事業調整連絡会議の議を経て、都道府県剣連専務理事・理事長会議に諮って決定。さらに内容的には2月の剣道研究会で意見を徴し素案を固め、3月に入って5日(火)に審議会を開催、その審議を経て案を固め、3月12日(火)の理事会・評議員会に諮って決定の運びとなりました。

収支予算案については事業計画審議の進行に応じて経理部門で積算し、総務委員会・常任理事会の議を経て案を固め、同じく3月12日に決定されました。それぞれのポイントについて述べます。

堅実に仕事を進める25年度事業

25年度は前年度に比較して、60周年記念事業・イタリアで行われた世界剣道選手権大会に関する仕事が減りますから、費用と手間を経常業務に回すことができます。ポスト60年の年で、改めて教育・普及の業務を重点として進めます。

事業計画に定着している文言を掲げて、確認しておきます。

まず前文に掲げている「全日本剣道連盟は、わが国の伝統と文化に培われた剣道の普及・発展を図るとともに、心身の錬磨による人造りとわが国社会の健全な発展に寄与することを目指す」ことを改めて確認し、連盟事業の基本方針として掲げている「『剣道の理念』に基づき、社会から高く評価される活力ある剣道界のさらなる発展の実現を目指し国内外各層への剣道普及を図る」ことの実現に努力します。

概ね堅実に組んだ25年度収支予算

25年度収支予算は、比較的楽に組むことができました。それはまず全剣連の収入の7割を占める称号・段位の登録料と、高段審査の受審料収入が、生涯剣道の普及を反映して、既に本年度から強含みで、これを織り込んだ収入が見込まれることが挙げられます。

支出面では、24年度に比較して支出が減る事業があります。まず設立60周年関係事業と、世界剣道選手権大会関係費用や選手強化費などです。

こうして25年度は収入7億3千万円、支出7億8百万円と久方振りの黒字予算を組むことができました。数年続いた過去の蓄積からの取り崩しの無い予算です。

いずれも3月12日の理事会で決定され、続いて開かれた評議員会で了承され、新年度の活動が始められることになります。

以上の決定に至る前の、剣道研究会・審議会などの概況は、本誌に掲げられた記事で御承知ください。

骨太剣士が強化選手と合同訓練実施

選抜特別訓練講習会というのが、正式名称ですが、骨太剣士養成と言うのが、通称で通りが良くなっています。その骨太剣士53名が、2年の訓練を終える最終の講習会が、2月28日(木)より4日間、東京・夢の島の通称「ブンブ」で行われましたが、この講習に合わせた形で、強化訓練剣士の合宿も行われました。

合同の稽古もあり、骨太剣士は日本の一流剣士と稽古のチャンスを得て、一方の強化選手は、伸び盛りの若手との錬成ができ、予想以上の成果が得られた模様です。

骨太剣士の訓練はこれを以て終りますが、今後この訓練で得られたものを生かして、成長してくれることを期待します。本年夏から第5期の新しいメンバーによる訓練が始まります。

骨太と強化併せ総勢86名の講習生となった

骨太と強化併せ総勢86名の講習生となった

社会体育指導員養成講習事業順調に展開

平成7年に始められたこの事業は、他のスポーツの実態と異なって、衰える事なく順調に展開されていることは度々申してきましたが、講習は例年通り順調に行われ、2月・3月に東西で行われる、上級の養成講習と更新講習を以て24年度の事業を終了しました。

初級資格取得者累計6,896名・同更新者累計3,744名、中級資格取得者累計2,273名・同更新者累計1,877名、上級資格取得者累計571名・同更新者累計293名という実績が挙がっています。

講習においては、講習生が熱心に受講されますが、講師の方々の献身的努力により内容が維持されてきました。資格の活用という面では思うに任せぬ感もありますが、受講者の熱心な努力によって剣道界全般のレベルアップに効果が上がってきていることを確信します。

さてこの講習会の上級の日程の最後に1コマの時間を頂戴し、「これからの剣道」という講話をさせて頂いています。私論を含むものですが、以下その内容に触れます。

竹刀と剣道具の開発による剣術のイノベーション

刀による戦闘は、銃・砲の開発・普及により兵器の主役から退きました。江戸時代に入り、泰平の世になると、刀は護身用のものとなり、武士という階級の身分の象徴になりました。司馬遼太郎氏によると階級の紋章のようになったとします。これまで道具であった刀が神聖なものになり、「刀は武士の魂」という道徳ができたとします。

これまで剣術の稽古は形で行われてきましたが、武士階級での刀の操法の修業は情勢を反映して疎かになりました。このような時代に、18世紀の中期江戸で竹刀と剣道具が開発されました。その利用は成長し、幕末の頃にはほぼ現在の形ができています。

この時期に竹刀剣術を奨励した水戸藩の重臣・藤田東湖は次のように述べています。

「100年あまりこのかた面小手胴といえるものいできてよりその技日々に強くなりぬ。......素肌にて木刀刃引きの勝負はその名のみ強くしてその実は弱し」(『常6帯』)

打ち込み稽古や試合ができる竹刀剣術は時代ニーズに合ったもので、改良も進められ広がりもみつつ明治維新を経て、今日に至っています。現在の用語を以てすれば正しく、竹刀剣術は大きなイノベーションであったといえます。

その後、時代は変わり明治維新を経て近代国家に進展、武士階級も無くなり、近代化した剣術は衰退の時を経ましたが存続し、国運が高まった明治28年に大日本武徳会も発足し、発展の道を進みました。

剣術は青少年の心身の鍛練への効果が叫ばれて、中学校の教科への採用が実現し、この機会に各流派の技を統合した、帝国剣道形が制定されました。それからちょうど100年を経ています。

剣術はその後教育の効果を重視して「剣道」と呼称されるようになり、さらに国勢の伸長とともに社会の支持も得て、昭和の隆盛期に入ります。

しかし戦時体制に入って歪んだ形で奨励されましたが、敗戦によって衰退し、占領期の弾圧を受けて大きな打撃を受けます。

今回は誌面の関係でここまでと致します。

会 長 武安 義光

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